村上さんのところ の商品レビュー
一番笑ったところは、 「子猫が生まれるからあげるよ」と彼女に言われて引き取りに行ったら親猫を渡された、という件でしょうか。 何とも無責任で(いや、誠意は尽くしているのであろうことは伝わります)ひょうひょうとした感じの受け答えはツボります。 「私はいついつからの村上主義者でし...
一番笑ったところは、 「子猫が生まれるからあげるよ」と彼女に言われて引き取りに行ったら親猫を渡された、という件でしょうか。 何とも無責任で(いや、誠意は尽くしているのであろうことは伝わります)ひょうひょうとした感じの受け答えはツボります。 「私はいついつからの村上主義者でした。」といういかに村上ファン歴が長いか、ということを冒頭に置く人たちが多いのは、面白いですよね。「どれだけ私が長くあなたを思っていたか。」もしわたしがmailするとしたら、同じことを書くのかな。「私の愛を分かってください。」 いや、すごく嫌味に聞こえることを言ってるって、分かってるんです。ごめんなさい。 最近、学んだことがあるんです。「愛情は、返してくれる相手あってこそ成立するものなんだ。」って。 気になる人ができて、でも相手にはその気がないようで、でも私の気を引くかのようにメールがあったりして、「どうしたいの?」って聞いたら、「君が望むなら仲良くなりたい。」と。でデートしてみたら、「僕のことあんまり好きにならないでくれ」というような含意の内容をにおわせることを言ってきて(例:一年後に引っ越そうと思ってる)散々たるありさま。 好意は、必ずしも野放しに喜んで貰えるものではないっていうのは、この年になれば分かる。でも、何でこんな風な扱いを受けるんだろうって、しばらく泣く。 そこで、好意は、好意として受け取ってもらえて初めて成立するんだって思い知らされた。 でも同時に、好意を示さなければ、好意としてさえ気づいてもらえないんですよね。「わたしはここにいます」って。きっとそこからの「私がどれだけあなたのことを思っていたか。」なんですよね。でもそこには、「私の好意を好意として受け取ってもらえるだろう。」という気持ちを私は感じる。健全で、まっすぐで、まぶしい。 きっとそこには、「私はあなたのこと大好きです。」っていう気持ちを、受け入れてもらった経験があるんだろうって、感じる。それが私には、まぶしい。まぶしくて、悲しい。 いつか私にも、そんな人が現れたらいいなって、思うのです。わたしはいつも自分から行くということがなかったから。でも今回は、ダメそうだ。私のことをよく知らないまま、こうなって行った今の状況が、悔しくて仕方ありません。 村上さん、相談に乗ってくれないかな。
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親切じゃない人に出会っちゃったり、思いがけない悪意にたまたま出会っちゃうことでちょっと凹んじゃうことって東京だとたまにあると思うんです。そんな何気ない辛さを解消してくれる本!村上春樹は実は3作品くらいしか読んだことないです、が素敵です。
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特設サイト「村上さんのところ」に寄せられたたくさんの質問や意見や人生相談。 それらに村上春樹さんが真摯に返事を書いていくという夢のような企画をまとめた一冊です。 私がまだ村上主義者になる前だ〜〜〜うらやましい。またサイトがオープンしたときのために今からこつこつと質問したいこと溜め...
特設サイト「村上さんのところ」に寄せられたたくさんの質問や意見や人生相談。 それらに村上春樹さんが真摯に返事を書いていくという夢のような企画をまとめた一冊です。 私がまだ村上主義者になる前だ〜〜〜うらやましい。またサイトがオープンしたときのために今からこつこつと質問したいこと溜めておきます。 お返事のひとつひとつが慈悲深いというか、慈愛に満ちていて嬉しい。彼の小説が素晴らしいのは言うに及ばず、人柄や言葉のえらび方も含めて信頼できる大人だと改めて感じます。 30 手づかみの饗宴 31 お父さんの本棚の人へしつもん 44 お金についてどう思っていますか? 50 健さんが好きでした 61 彼女の元カレをSNSで見つけてしまった 67 かなり強力なムラカミクス 70 卒業する中学生に贈る言葉 74 え、わたしが? 100 自分のことが好きですか? 104 それはあなたの中に潜んでいる 106 ちゃんと効果はあったんだ! 107 村上さんの生き方の原点は? 167 奥さんの機嫌が悪いときは…… 176 不倫を肯定的に描いていませんか 211 まっとうな含羞を抱えて 212 身銭を切って得られるもの 231 いま、日本の社会は息苦しい? 320 言葉の怖さについて 338 悩める教員2年目です 364 本の魅力が理解できずに生きてきた 368 感受性の磨きかたを教えてください 390 村上さんは、心の先生です 409 立派な大人になるために必要なこと 421 小説の孤独はきっと役に立ちます 441 愛を知るためには
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ハルキストではなく、できたら「村上主義者」と呼んでください。 親が自分自身に期待するようになれば、子供もまねをする。 恋をするというのは猫が足を滑らせて、回っている洗濯機の中におっこちたような状態のこと。 素敵だとか楽しいとか考えている暇もありません。ただもがくしかない。 そんなの嫌だ面倒だと言うなら近くに行かない。 おもしろそうだというなら、ちょっと覗いてみてください。 困った相談があると、たいてい「猫を飼ったらどうですか?」と答えています。 猫を飼うと心がついつい広がります。心が広がると友人だって作れます。 本当に大切なことは多くの場合、痛みと引き替えにしか手に入りません。 生産性の高いものばかり追求していると、人間がだんだん薄くなります。
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氏の特設サイトに集まるQに対するAを選出した本。今まで1冊も氏の著書は読んだことはなかったが、こういう人と知り、がぜん興味が湧く。面白く、かつまじめなAを読み、色々発想が湧いた。
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これは面白かった!☆4.5。 村上春樹とユーザのQAやり取り。まー色々な質問が来るもんだ。村上春樹ファンらしき人からの小説やご本人についての質問から、人生相談、家族の相談、自分の性格の相談まで。。こんなにたくさんの質問をすべて読んだというからすごい。そして回答も面白かった。真面目丁寧に返してるときもあれば、ちょっと適当?なときもあり、楽しめながらさくさく読める。面白かったのはスワローズのつば九郎をペンギンと間違えてる人に、すごくムキになって詳しく説明しだしたこと。ヤクルトファンだったんですね。 完全なる「村上主義者」ではない私でもとても楽しめ、そしていくつか村上作品を読み返したくなった。
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たぶんネット上でやり取りをされているときも、仕事帰りの道すがら、危険な歩きスマホでだいたい読んでいたと思う。でも、やっぱり1冊の本になると、心に響いたところを何度も読み返すなど、アクセスしやすいというメリットがあるように思う。彼女のSNS情報を見て嫉妬する彼、夫のケータイを見て嫉...
たぶんネット上でやり取りをされているときも、仕事帰りの道すがら、危険な歩きスマホでだいたい読んでいたと思う。でも、やっぱり1冊の本になると、心に響いたところを何度も読み返すなど、アクセスしやすいというメリットがあるように思う。彼女のSNS情報を見て嫉妬する彼、夫のケータイを見て嫉妬する妻。公開されているSNSはともかく、人のメールやラインなど覗き見てはいけなかったものを見てしまい、知らない方がよかったものを知ってしまったとき、胸が熱くなる。知ってしまった以上、知らなかったことにはできない。自分の中で抱え続けるよりほかない。時間がわずかながら解決はしてくれる。「世の中には見ないで済ませてしまった方がいいものもたくさんあります。」お腹の中の赤ちゃんや身近な人をなくしてしまった人からのメールにも、胸が熱くなる。「もしあなたの中に空洞があるのなら、その空洞をできるだけそのままに保存しておくというのも、大事なことではないかと思います。」ほめてほしいという若者が増えているということ。雑用ばかりで心が折れそうになるという女性。「「雑用だってちゃんとできる人」と「雑用すらできない人」にわかれます。「雑用だってちゃんとできる人」になったらいかがですか?」その通りだ。私も「こころ」はどうしてもいいと思えない。登場人物のうち誰一人感情移入ができない。多種多様の質問が飛び出る中、真剣な悩みに対して真摯に答えられている姿は美しいのだが、ちょっとどうでもいいような質問に、変化球で答えていたり、そもそもその質問の答えを返さないままスルーしていたり、なかなか笑えます。いやあ、本当にお疲れ様でした。ところで、文庫専門の村上主義者としては、「騎士団長・・・」の文庫化が待たれるのだが、まだ1年くらい先かなあ?
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図書館で借りて読んだけど、書店で文庫を見て購入。 好き。読んでると、自分の生活を見直せる感覚がある。
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読者からの人生相談であったり、感想であったりするものに村上春樹さんが丁寧に答えている本。 ただただそれだけなのに、なぜ楽しく読めるのでしょうか、 とても不思議です。 文庫の装丁の方が好きなのでそちらで買いましたが、保管用に単行本も欲しくなりました。 村上春樹さんのエッセイで...
読者からの人生相談であったり、感想であったりするものに村上春樹さんが丁寧に答えている本。 ただただそれだけなのに、なぜ楽しく読めるのでしょうか、 とても不思議です。 文庫の装丁の方が好きなのでそちらで買いましたが、保管用に単行本も欲しくなりました。 村上春樹さんのエッセイでは、「はいほー!」が1番好きなのですが単行本を訳あって失ってしまいました。文庫の装丁の感じはあまり好きではなくてとても残念なのです。
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村上春樹がインターネットを介して読者の質問に答える期間限定サイト「村上さんのところ」。総質問数3.7万、回答数3,716通という膨大な質問・回答から厳選された473通を収めたのが本書である(その全数3,716通は、電子書籍版として発行されている)。 もちろんライトなネタ的な投稿...
村上春樹がインターネットを介して読者の質問に答える期間限定サイト「村上さんのところ」。総質問数3.7万、回答数3,716通という膨大な質問・回答から厳選された473通を収めたのが本書である(その全数3,716通は、電子書籍版として発行されている)。 もちろんライトなネタ的な投稿も多いが、特筆すべきは1通あたりの字数制限1,200字をフルに使った質問の多さだろう 。そこでは本気で自らが悩んでいること、過去に取った選択肢の正しさ、男女の分かりあえなさなど、市井の人々の生々しい姿が表現されている。そうした質問に対する村上春樹の回答もまた誠実であり、その誠実さが、彼を未だに一級の作家たらしめているということを改めて実感した。 そういう点で、本書は作家ポール・オースターがアメリカ中の人々から物語を募った「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」に似た感動を味わうことができた。村上主義者の1人として、いつか、そういうプロジェクトを村上春樹にやってほしいと思うのだけれど。
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