ふたりみち の商品レビュー
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67歳の元歌手。ミラクル・ローズという名前で7曲を出し少しだけ売れたのは1曲。現在では知ってる人が少ない過去の人。現在は本名のゆかりでスナックのママ。そのゆかりが12歳の少女縁(ゆかり)と出会うとこから始まる。過去に少しだけいい時があっても今は誰も知らない。自分の歌で人の心が動き、人生が変わる。そういう人を目の当たりにしてようやく今の自分を肯定できるもの。過去の自分と今の自分の確かなつながり。誰か一人でも覚えてくれている人がいるということ、出会えてよかったと思える人がいること。誰の人生にだって自分だけのドラマがあるということを鮮やかに描いている。本当にいい小説。
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+++ 函館から津軽海峡をフェリーで渡る67歳の野原ゆかりは、元ムード歌謡の歌手。借金返済のため、営業の旅に復帰したのだ。その船内で知り合った12歳の家出少女森川縁が、なぜかゆかりの後をついて来る。旅先で起きるトラブルや55歳の歳の差を乗り越えて、いつしかふたりは固い絆で結ばれて...
+++ 函館から津軽海峡をフェリーで渡る67歳の野原ゆかりは、元ムード歌謡の歌手。借金返済のため、営業の旅に復帰したのだ。その船内で知り合った12歳の家出少女森川縁が、なぜかゆかりの後をついて来る。旅先で起きるトラブルや55歳の歳の差を乗り越えて、いつしかふたりは固い絆で結ばれていく。そしてたどり着いた最後の会場、東京。そこにはゆかりの悲しい過去が刻まれていた…。 +++ 67歳と12歳、ゆかりと縁(ゆかり)の「ふたりみち」の物語である。それぞれに事情を抱えた利の差55歳の二人は、津軽海峡を渡るフェリーで出会い、なぜか一緒に旅をすることになる。歌を、音楽を通して、二人のなかにある何かが響きあったのかもしれない。行く先々でトラブルに見舞われ、ろくに歌うこともできずにいるミラクル・ローズ(=ゆかり)だったが、縁がいつも支えになってくれている。12歳らしい幼さと、12歳とは思えない逞しさを持ち合わせた縁がいたからこその、ゆかりの旅なのである。ゆかりにとっては、人生の来し方を振り返る旅にもなっており、縁にとっては、人生の行方を探す旅でもあるのだろう。切なさ、ほほえましさ、人情のあたたかさ、一筋縄ではいかないやりきれなさなど、さまざまな感情を呼び起こされる一冊でもある。
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大ヒットが出ないまま引退したムード歌謡歌手のゆかりは、67歳にして借金返済のために昔のつてを頼って営業の旅に出る。その旅の初めに出会った少女の縁(ゆかり)は、何故かゆかりの後をつけまわす。行く先々でコンサート中止というトラブルに巻き込まれる内に二人の”ゆかり”の絆は深まって行く。...
大ヒットが出ないまま引退したムード歌謡歌手のゆかりは、67歳にして借金返済のために昔のつてを頼って営業の旅に出る。その旅の初めに出会った少女の縁(ゆかり)は、何故かゆかりの後をつけまわす。行く先々でコンサート中止というトラブルに巻き込まれる内に二人の”ゆかり”の絆は深まって行く。 キャラが良いですね。 何と言っても縁。無鉄砲で、純粋で、可愛くて、しょっちゅうお腹を減らしてる少女。そして、聞く人誰をも感動させるシャンソンの実力があり、いざとなると腹が座ってラップバトルで人気ラッパーを打ち負かしてしまう67歳のゆかり。ゆかりが巻き込まれるトラブルに、縁は怒り、泣き、笑い、そんな縁をゆかりは「私の本心」と思い絆を深めて行くロードムービーです。 山本さんの作品は、高級食材でグルメを唸らせるようなものではありません。いわば定食屋さん。でも、飛び切り美味しい定食はとても良いものです。 山本作品のもう一つの楽しみは他の作品の登場人物がちょい役で出演すること。ただ、この作品ではゆかりが最初に就職した会社がアヒルバスだったという事しか気づきませんでした。他にも居たのかな?
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67歳の元歌手がドサまわりに復帰するため乗ったフェリーで出逢った12歳の家出少女。 いつしか二人は年を越えた友情で結ばれていく。 最初はこの話がどこに向かっていくのかわからなかったが 最後は非常によかった。 映像化されそうな気がする。 【図書館・初読・4月27日読了】
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