植物は〈未来〉を知っている の商品レビュー
前著「植物は知性を持っている」をさらに発展させたような内容。植物の持つ能力から学び未来へ活かそうという取り組みが紹介されている。 内容的には前著の方が驚くような内容が多く、本著はその補足的な印象を受ける。植物の能力に魅せられた著者が興奮気味に語っているような感じ。 プラントイ...
前著「植物は知性を持っている」をさらに発展させたような内容。植物の持つ能力から学び未来へ活かそうという取り組みが紹介されている。 内容的には前著の方が驚くような内容が多く、本著はその補足的な印象を受ける。植物の能力に魅せられた著者が興奮気味に語っているような感じ。 プラントイドや、植物の構造を建築に取り入れたり、塩水を淡水に変え水上で浮かび食物を生産するジェリーフィッシュバージの話がとても興味深かった。 印象に残ったのは、 植物は、単一の個体というより複数の個体からなる一つの集合体であるということ。 自然界は強者、少数の個体やグループが支配しているのではなく、集団組織という指令センター持たない分散した組織であり、個体の知性の総和を超えた集団的知性が出現する原理がある。 植物から社会の在り方や人間が自然界とは異なる世界で生きていることを学び、考えさせられる。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB25816314
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動物は問題から逃れるために動くことを選んだ。 植物は問題に対応するために動かないことを選んだ。 植物は「移動できない」ことが理由なのか、その作りは動物に比べると下等だと思われている。 だがこの本の著者、イタリアの植物学者ステファノ・マンクーゾさんによると、動物のそれと形態は違...
動物は問題から逃れるために動くことを選んだ。 植物は問題に対応するために動かないことを選んだ。 植物は「移動できない」ことが理由なのか、その作りは動物に比べると下等だと思われている。 だがこの本の著者、イタリアの植物学者ステファノ・マンクーゾさんによると、動物のそれと形態は違っても、植物も視覚や運動など様々な感覚を感知する器官を持っているという。 動物とは全く違う器官の作りや環境への素早い対応力など、植物がもつ様々な能力は限界に近づきつつある地球を守る手段になりうるとして、近年積極的に研究されている。 SDGsにも大きく関係する内容なので、持続可能な社会に興味がある方にはぜひ読んでほしい。 植物に対するイメージが180度変わる1冊。
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内容については全く異論なし。 植物が動物とは全く違った形で知的に生きているということを感じているから。 〈本から〉 自然を深く観察せよ。そうすればあらゆることがよりよく理解出来るだろう。 アルベルト・アインシュタイン 環境に対する...
内容については全く異論なし。 植物が動物とは全く違った形で知的に生きているということを感じているから。 〈本から〉 自然を深く観察せよ。そうすればあらゆることがよりよく理解出来るだろう。 アルベルト・アインシュタイン 環境に対する植物の運動反応は、屈性という名で一般的に知られている。 略 こうした屈性を組み合わせることにより、植物は厳しい環境を生き抜き、根を伸ばすことによって土壌に定着し、生存と安定性を確保することができるのだ。 複数の個体からなる一つの集合体 ファーブル 「動物の場合は『分割する』ということが、概して殺すことを意味するのにたいし、植物の場合は、ふやすことを意味する」 樹木も濃く色づくことによって、秋のあいだに移住の頂点を迎えるアブラムシに対して、自らの強靭さと生命力を誇示する信号を送り、他のもっと楽な宿主を探すように促している。 略 アブラムシの攻撃をかなり受けやすい秋に、最もすばらしい色づきを見せてくれるのは偶然ではない。」 唐辛子属のほとんどすべてが、ひりひりする感覚の原因である化合物カプサイシンを大量に作り出す。 植物が製造する神経作用性の化合物は、動物に捕食されるのを防ぐための手段ではなく、動物を引き寄せ、操作する道具だという考え 地球に暮らす全生物の総重量の少なくとも80%は植物が占めている。この数値こそ、植物がとてつもなく優れた能力を持っているはっきりとした証拠だ。 植物に目や耳や脳や肺があったら、植物が見て、聞いて、計算して、呼吸するという事実を誰も疑いはしないだろう。そうではないため、植物が洗練された能力を備えていることを理解するには、想像力を働かさなければならないのだ。 ヒエラルキー構造は自然界ではうまく機能しない 集団組織には、個体一つ一つの知性の総和を超えた“集団知性“が出現する一般原理がある
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植物は知性を読み連続して読んだため、1/3程度は既読感ありな読書だったが、宇宙実験での氏の経験が赤裸々に描かれた章などは改めて読書できたことへの感謝を感じることのできた著作だった。また、植物の話題から海での取り組みにまで言及されている氏の見識の広さには改めて関心せざるを得ずイタリ...
植物は知性を読み連続して読んだため、1/3程度は既読感ありな読書だったが、宇宙実験での氏の経験が赤裸々に描かれた章などは改めて読書できたことへの感謝を感じることのできた著作だった。また、植物の話題から海での取り組みにまで言及されている氏の見識の広さには改めて関心せざるを得ずイタリアの歴史の深さと懐の深さへと思いを至らせた次第である。アリストテレス以降誤った思い込みにより構成構築された知識生産性と社会構築の在り方にも一定量の影響を及ぼすであろう著書である◎
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もちろん言葉通りではなく、未来を知っている、というよりこれからの社会問題に対し、どう植物の機能、構造が生かされていくべきか、著者自身の体験も交えながら書かれている。 近未来的な装置は実際には開発されていたりして、興味深い内容だった。 また植物の感覚に対する認知や記憶などについての話、仮説等々も面白く、自身も着眼していきたい部分だと思った。
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植物は 記憶力がある、オジギソウを馬車に乗せると次第に閉じなくなる 小麦、米、とうもろこしは、人間の主食となることで、大規模に栽培され、拡張した レンズ豆の種子に似た植物がいる オランダフクロは、動物が触れて刺激で、種子が爆発し、動物の毛に纏わり付き、範囲を広げる カマバアカシア...
植物は 記憶力がある、オジギソウを馬車に乗せると次第に閉じなくなる 小麦、米、とうもろこしは、人間の主食となることで、大規模に栽培され、拡張した レンズ豆の種子に似た植物がいる オランダフクロは、動物が触れて刺激で、種子が爆発し、動物の毛に纏わり付き、範囲を広げる カマバアカシアは、蜜を作りアリを呼び寄せ、そのアリは周辺を食い尽くし、日光や栄養を独り占めする。悪魔の庭と呼ばれる 植物は、エネルギー使って、無駄なものは作らない 唐辛子や麻薬は、人間の脳に作用する物質を作り、栽培植物として、広がる オオニバスの花は、熱を発し、蜜蜂を呼び寄せ、重層な花弁で、一晩閉じ込め、花粉だらけにして、翌日花弁を開放する サボテンの中には、寒暖の差を生かして、夜露をキャッチし、水分を得ているものがいる 乾燥地帯の構造物も水滴を得るためのものである 海の温室で、海水が蒸発した、水をキャッチし、植物の、成長に充てるなどしている。
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おもしろい。植物の構造の解き明かしと、人間の社会生活にどのように転用でき、近い将来どのように課題を解決できかを語った本。読みやすい。大学教授の学術的な文章なのに、スラスラ読めます。
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植物は人との関わりが本来は深い。農産物だけでなく、あらゆる植物がである。 植物の構造が動物とは大きく違う点から、それをヒントに人間活動に取り込めないかと提案、実践していく著者の熱量、そして本当にそうなればという思いと、意外と世論はそれを求めていないのだなという残念な感情を残す。 ...
植物は人との関わりが本来は深い。農産物だけでなく、あらゆる植物がである。 植物の構造が動物とは大きく違う点から、それをヒントに人間活動に取り込めないかと提案、実践していく著者の熱量、そして本当にそうなればという思いと、意外と世論はそれを求めていないのだなという残念な感情を残す。 ジェリーフィッシュ・バージなんかは特に当時もっと話題になってもよかったレベルのものだと思ったのに…。 植物は面白くて、すごいものなのだと再認識するためにぜひ。
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※このレビューにはネタバレを含みます
二年あまり前にも『植物は<知性>をもっている』を読んでいるがこの本もいい。より人間社会や営みにむけたメッセージが強い内容である。 前著がどうだったか記憶がないが、この本はカラー写真の色の出し方が独特だなと、愉快なイタリアのセンセイである著者の個性を生かしているように感じた。 P103 植物の運動には、内部エネルギーを利用する能動的な運動と、環境中に存在するエネルギーを利用する受動的な運動がある。 【中略】受動的な運動は、細胞壁の構成要素が持つ吸水力の差によって引き起こされる。(受動的な運動は風変わりなものばかりで、実行しているのが、内部エネルギーをも全く使わない”死んだ組織”なのだから驚きだ) P140 スコヴィル辛み単位1600万SHU(純度100%のカプサイシンの値)は唐辛子の辛みの最大絶対値を表し、光速や絶対零度のような物理定数と同じ意味を持つ。【中略】カプサイシンは、神経末端と接触するとTRPV1という受容体を活性化させるアルカロイドだ。TRPV1は熱センサーで、体に害が及ぶほどの温度を感知すると脳に危険を知らせる働きがあり通常は43度で活性化する。【中略】唐辛子にとってカプサイシンの本当の利点は、哺乳類を遠ざけることではなく、人間即ち絶対的に優れた運び屋を異常な依存状態に陥らせ、自分たちから離れられなくする能力だったのだ。 P164 "運動"は動物にとって決定的手段なので―危機的状況におかれた時こそお決まりの"逃走"反応をするー【中略】そう考えると、動物にとっての最適な身体構造は、あらゆる決定を下す指令センターを頂点としたヒエラルキー的身体構造といえるだろう。一方、植物にとって動物のようなスピーディな対応は全く意味がない。大切なのは、効果的な解決策を見つけることだ。つまり、熱さや寒さ、捕食者の出現”にもかかわらず”生き延びることができるような解決策である。この難しい課題にうまく対応するには、集中した構造より分散型の組織構造のほうがはるかに望ましい。より革新的な対応ができ、文字通り“根付く”ことで環境をより正確にとらえる力が得られるからだ。【中略】要するに、動物が周囲の環境の変化に"運動"によって対応し、変化を避けるのに対して、植物は絶え間なく変化する状況に対し"適応"によって対応する。 P176 少数の個体やグループが、集団全体の意思決定を行うヒエラルキーなど、自然界ではまれである。そうしたヒエラルキーがあちこちにあるように見えるのは、わたしたちが人間の目線で自然を見ているからだ。先にも触れたように、わたしたちの目は、自分に似ていると思うものしか識別しない。 P187 重要なことにもかかわらずどうしていいかわからない状況におかれたとき、<道徳的代数>、つまり”理由のバランスシート"を実践する。それは数学的に必ずしも正しいと言えないが、十分に役に立つ。 P195 秩序が優れていると考えるのはごく普通のことだ。秩序付けることは組織化すること意味する。つまり、全く類似性を持たないものを、無理やり一緒に押し込める牢獄を作ることだ。そして、ヒエラルキーを、階級を、集団を、下位集団を作ることだ。わたしたちが何かを分類するときには、それが物質的な分類であれ精神的な分類であれ、動物の体のヒエラルキー構造を繰り返し模倣し、それを再生産しているのである。【中略】動物のモデルは効果的で安定しているように見えるだけで、実際はギプスで固められたモデルなのだ。【中略】人類の未来は、植物のモデルに基づいて作り出す以外にはありえないはずだ。 P269 地球の三分の二は水で覆われていて、そのうちの97%は塩水だ。地球の外を開拓するよりも、海を人類の新しいフロンティアにするほうがずっと早い。 P281 肥沃な土壌を必要とせず、淡水を必要とせず、太陽以外のエネルギーを必要とせずに食物を清算する。これほど素晴らしいことがあるだろうか。【中略】きちんと機能するプロトタイプが完成すれば、興味を持ってくれる投資家はいくらでも見つかるだろうと思っていたのだ。【中略】だが市場とうまくやって行くのは本当に難しい。市場とは閉じた世界であり、しばしば偏狭で、約束事ばかりに縛られ、大半の研究者たちを怖がらせる要求だらけの世界なのだ。【中略】それでも私たちはくじけない。遅かれ早かれ、いつか食糧生産のために海を耕すことが必要になるだろう。
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