手と足と眼と耳 の商品レビュー
まず、デジタル化以降「私的」に保存されたものが「公的」な記録の範疇に入る、記録は記憶を補完するものだったが、今ではデジタル技術の発展により記録が記憶に対し先回るようになる、などの背景があるとされる。その背景により、アーカイブの世界に多様化がおこり、生成・運用の規範に揺らぎが出てい...
まず、デジタル化以降「私的」に保存されたものが「公的」な記録の範疇に入る、記録は記憶を補完するものだったが、今ではデジタル技術の発展により記録が記憶に対し先回るようになる、などの背景があるとされる。その背景により、アーカイブの世界に多様化がおこり、生成・運用の規範に揺らぎが出ているのが現状とされる。本書の主張として「公ー私」「記憶ー記録」の中間領域をなし、かつかけがえのない「現実(リアル)」が生産される場は「地域」と「映像」ということである。その主張とともに、様々なアーカイブ実践事例が多くの研究者より示される図書。 映像は、記録として我々にさまざまな形で記憶を想起させる。そのため記憶を想起するためのデザインが映像には必要とされる。デザインがないと単なる無秩序なデータとなってしまい、想い起して活用するのが難しいと知った。 印象的なのは『北白川こども風土記』。児童が地域の人にインタビューし、資料を調べ、テクストにまとめ、それを指導者が編集し、出来上がった冊子である。地域的アーカイブの普遍的な実践例として、また「現代史的な意義を掴もうとする姿勢」が必要と示す事例として覚えておきたい。京都にこんな資料あったんだなぁ…ちゃんとどの公共図書館にも入ってる…
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