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想像力欠如社会 の商品レビュー

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2018/06/01

「神は細部に宿る」。 英語ではDevils in detail と言う。 何れにしても、全体を俯瞰していて解像度が低いレベルでばかり社会を見ていると見落としてしまいがちな、砕け散った瓦礫をじっくり正確に眺める時こそ、真実が見えるのかもしれない。 この本は、大学のゼミ生がドキュメ...

「神は細部に宿る」。 英語ではDevils in detail と言う。 何れにしても、全体を俯瞰していて解像度が低いレベルでばかり社会を見ていると見落としてしまいがちな、砕け散った瓦礫をじっくり正確に眺める時こそ、真実が見えるのかもしれない。 この本は、大学のゼミ生がドキュメンタリー制作のために、丹念に取材し、そこで理解出来た物事を深く掘り下げようとしている努力の結晶のようだった。 社会問題、と一言では片付けられない「我々」の社会の中で起きている様々な問題をクローズアップさせ、そこに生きるリアルさを伝えていた。 非行少年のカムバックの話や、福島へ当然のように帰る話まで、なるほど、確かに映画や物語のようにそんなにすんなりいかないよなぁ、と思わされる。 お墓の話なんて、そんな活動をしているお墓が埼玉にあることすら知らなかった。 ホームレスの実態も、これを読めば印象が変わると思う。 いろんな境遇の人がいるんだと、それをきっちり見聞きして、想像していけることが大切なんだと。 中身は、大学生らしい文章というか、しっかり書けてるけど若い人が書いた文章ということが分かるようで、逆にそれが新鮮でよかった。 全ての物事は政治性を帯びているという前提からすれば、マスコミの形骸化というか(政治的)無力化は益々加速化している。  その中で、ネットに適応したドキュメンタリーやジャーナリズムの発展が期待される。 関心を持ち、共感し、理解し合う。 そんな本当に当たり前のことが、個人のレベルでもメディアでも、どんどん損なわれているのは確か。大切なことだけど。 一方でメディアの作り手は、特に下請けは、日々の仕事に忙殺され、ここまで考える余裕すら無いとは思う。 なので、想像力を働かせるために様々なものに触れる必要があるのはわかるが、せっかくここまで良い題材に焦点を当てたものがたくさん出来るのだから、是非現在のスポンサー主義の放送の中でどう巻き返していけるか、劣悪な環境にあるメディア状況下でどうしていけばこう言う番組づくりも出来るのか、もしくは例えばこのドキュメンタリーをネット空間に載せるとすればどうすれば共感が広がって行くかなど、これからの時代に想像力を広げるためのヒントがもう少しあれば面白いのにな、とも思った。

Posted byブクログ

2018/05/29

ばらつきはあるが、学生がここまで書けるのがすごい。取材力はもちろん。社会の視点とマイノリティの視点とのギャップに、より一層目が向いた。

Posted byブクログ