棋翁戦てんまつ記 の商品レビュー
現在、将棋界には8つのタイトル戦があるが、本「棋翁戦」は、将棋界の本物のタイトルとは全く関係がない。「小説すばる」という雑誌で、作家同士の将棋の戦いという、埋め草的な企画の中から生まれた、遊びのタイトル戦だ。埋め草的な企画が思いの外の人気を呼び、このように書籍化までされてしまった...
現在、将棋界には8つのタイトル戦があるが、本「棋翁戦」は、将棋界の本物のタイトルとは全く関係がない。「小説すばる」という雑誌で、作家同士の将棋の戦いという、埋め草的な企画の中から生まれた、遊びのタイトル戦だ。埋め草的な企画が思いの外の人気を呼び、このように書籍化までされてしまった。 全ての戦いの棋譜が掲載されているので、戦いのレベルが分かるのであるが、全くの素人のヘボ将棋だ。だから、将棋の勝負自体が面白い訳ではない。大時代がかった挑戦状のやりとりや、勝負の観戦記、それらを全てプロの作家が書く。仲間内の悪ふざけと紙一重ではあるが、さすが、プロの、しかも売れっ子作家であり、その内容がとても面白く笑える。
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主に日本冒険小説協会の作家同士に「棋翁戦」名目で将棋の対局をさせ、その観戦記に大量の注釈をつけた本。 お好みの作家による注釈まみれで賑やかな観戦記のみならず、タイトル保有者への挑戦状やらその受諾状やら、参加者に対する煽りだの檄文だの盛りだくさんの駄文を楽しむことができるという「小...
主に日本冒険小説協会の作家同士に「棋翁戦」名目で将棋の対局をさせ、その観戦記に大量の注釈をつけた本。 お好みの作家による注釈まみれで賑やかな観戦記のみならず、タイトル保有者への挑戦状やらその受諾状やら、参加者に対する煽りだの檄文だの盛りだくさんの駄文を楽しむことができるという「小説すばる」の企画から刊行された1冊。 29連勝した中学生棋士の藤井聡太四段の活躍により到来した将棋ブームにより、『世紀の奇書が将棋ブームに乗じて甦る』として奇跡の文庫化となったようです。 と説明されてもどんな本なのか見当がつきにくいとは思いますが、機会があれば一度手に取ってパラパラっとめくってみてください。文句なしに面白いと思いますから。 「棋翁戦」なんて名前を付けてはいますが、まずは作家同士の将棋が本当にヘボ。棋譜を取るのが申し訳ないくらいで、「ヘボ将棋王より飛車をかわいがり」の言葉が相応しいくらいのヘボさです。 そんなヘボ同士の対局にまつわる大量の文章の数々がこの本の最大の魅力です。対局1回につき、挑戦状があり、挑戦受諾状があり、観戦記があり、これらに逢坂剛、船戸与一、夢枕獏、志水辰夫、黒川博行の豪華メンバーが注釈をつけまくり、さらに将棋を指せないくせに大沢在昌、宮部みゆき、北方謙三が外野から茶々を入れます。 棋力こそヘボですが全員筆力には覚えがある作家ばかり。何せ8人中5人が直木賞作家です。その筆力が、プロレスまがいの罵り合い、貶し合い、悪ふざけに惜しげもなく投入されており、これぞまさに才能の無駄遣い(褒め言葉です!)と言えるでしょう。 こんな企画が結構話題になったようで、逢坂剛 、船戸与一、志水辰夫の3名と米長邦雄との平手の対戦を他誌が企画したりしていて、オール讀物に掲載されたその顛末も嬉しいことに本書に収録されています。 ということで、将棋を指している逢坂剛、船戸与一、夢枕獏、志水辰夫、黒川博行のファンなら買い。茶々を入れている大沢在昌、宮部みゆき、北方謙三は文章の量がそれほど多くないので、この3人を目当てに買うとちょっとがっかりするかもしれません。 自分は宮部みゆき目当てで買って、対戦者を煽った文章の格調高さに大笑いしました。絶対他の本には収録されないだろう文章なので、わずか4ページでしたが、十分満足です。 …蛇足ですが、秘技「太閤おろし」って実際にあるみたいですね。企画の趣旨を十分理解して悪役を勤め上げた船戸与一には頭が下がります。
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これらの作家をよく知っていて将棋に詳しい人ならおもしろいのだろう。残念ながら私はそうではなく、ただの内輪受けの話に読めた。 宮部みゆきを読みたかったが、4ページ分しか出てこなかった。ネットで本を買っちゃうと、こういうのがわからない。
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