生命の起源はどこまでわかったか の商品レビュー

高井研(編者)

2022/02/14

生命の起源をめぐって、多分野の専門家が登場しており、刺激的だ。
水素を発生させる岩石と温度、深海の発電現象、内部の様子が明かなのは、エンケラドスのみ。
後半は、『対論！生命誕生の謎』の高井氏の主張そのものなので、新鮮味は無いがより学術的な記述になっている。

2021/09/04

数年温めていたけどようやく読破。
しっかり読んだらめちゃくちゃ面白い。特に3章の『宇宙の海に生命を探す』が面白すぎてここの章だけ一気に読んでしまった。

生命はどうやって始まったのか？生命の起源について詳しく知りたいという方にぜひ読んでほしい。
本書が出版された2018年までに分かってることとしては、生命は深海熱水活動域で生まれた可能性があるということ。そもそも深海で熱水が噴出してるというところから知らなかったわけだが、熱水が周囲の岩石と化学反応し、生命に必要な元素が生まれている。だがその素材たちはどうやって生命の元となったのかという点に関してはまだ分からず、複数の説がある。

2章までは地球の海に関する話だが、3章は宇宙の話になる。土星の衛星エンケラドスは表面を氷に覆われているが、その下に海水があり、深海には熱水があるのでは？という話から始まる。もしかしたらエンケラドスにも生命が誕生しているかもしれない。太陽系で地球外生命体が見つかったらすごい発見だ。今後エンケラドスに生命の起源を探すべく調査が行われる。とても楽しみ。

最後はチャレンジャーコースという名のハードな解説。正直わたしには理解できない部分も多かったが、生命の起源についてどのような研究がされていてどこまで分かっているのか、が理解できる。

読んでてとてもワクワクするしこれからどうなるかがとても楽しみ！もっと生命の起源について勉強したい。未来ある若者が1人でも多くこの道に進んでほしいなと思う。

2021/01/16

高井先生という面白い先生がいるということで読んでみた！！

深海に生命起源があると考え、実際に深海にコロニーを発見した話や、起源につながる地層を発見した話などワクワクする話が盛り込まれていて面白い！！

また、生命の起源が多元的だった
(何種類かは生命が生まれたが、持続持続せずに今の1系統だけ残った)という多元仮説も書いてありワクワクした。

2020/06/03

「原始の海で生命の材料を作ったのは深海熱水噴出孔の発電現象か」
など、最前線の研究の様子。最新情報を拾うだけでも面白いと思う。

一般の人に理解・応援してもらおうとしている本でもある。
中高生ならもっと理解したいと思ったり、夢が決まる人もいるかもしれない。
フルカラーで、なるべく分かりやすいようにまとめてくれていると感じる。

一番真面目に読んだのは４章の座談会。

最後の７つの論点は匍匐前進する気持ちで読む。

2019/12/02

面白かった！日本の研究機関が活躍している海洋(深海)や宇宙についての最新情報を知ることができた。存命のうちに土星衛星エンケラドスのプルーム粒子をサンプルリターンで解析できる時代が来るかもしれないのは非常に感激的。
考古学的な原始地球の環境研究、DNA調査に基づく共通祖先の探索、特殊な条件を再現する高度な装置・・考えられるシナリオが絞られてきていて、生命の起源に迫りつつあることを感じさせる内容。
米国のオーソリティではパンスペルミア説を唱える学者もいるが、本書ではチムニー近辺での海底熱水領域での生命誕生シナリオを力説。 電気化学進化による材料の複雑化、鉱物構造での材料濃縮、原始地球での安定した環境など、根拠となる材料が豊富。
個人的には条件さえ揃えば生命誕生は普遍的で、地球でも複数系統で発生してきた、と直感的に思っている。 座談会でチラッとしか出てきてないが、米国ザ・シダーズで発見された水棲微生物の詳細について気になった