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田村直臣のキリスト教教育論 の商品レビュー

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2021/03/01

日本のペスタロッチ、その言葉に相応しい明治時代のクリスチャン教育学の創始者ともいうべき巨人だと思った。著者の力作によってこの人物のことを詳細に知ることができた。築地バンドでの救いから始まり、植村正久、内村鑑三らとの交流も経て、日本の婦人の開放に目を開かれ、「日本の花嫁」を外国で出...

日本のペスタロッチ、その言葉に相応しい明治時代のクリスチャン教育学の創始者ともいうべき巨人だと思った。著者の力作によってこの人物のことを詳細に知ることができた。築地バンドでの救いから始まり、植村正久、内村鑑三らとの交流も経て、日本の婦人の開放に目を開かれ、「日本の花嫁」を外国で出版したところ、日本の恥を晒し、同胞を貶める行為として、社会からもまたキリスト教界からも非難され、除名されるという事件を経て、幼児へのキリスト教教育に力を注いでいったその人生は力強い。晩年はバルト神学の興隆に対して徹底的に闘ったその信念も彼の思想との一貫性が良く分かった。しかし、子どもの存在を「神の子ども」として罪がないかのように強調するあまり、パウロに戻ることがキリストの救いと別、と主張する後半部分の考え方にはやや違和感を感じたことは事実である。女子学院の矢嶋楫子たち4姉妹の存在、また御影で幼児教育に力を注いだというメソジストの三戸吉太郎との対比も勉強になった。イエスが子どもも愛された、そのことの主張が強烈に伝わってくる。 キリスト教主義大学における「キリスト教主義教育・保育とは何か」という私の興味とは少し異なり、教会学校論、教会におけるキリスト教教育を語る本ではあった。この意味ではむしろ冒頭の文章が私が最も求めていた内容だった。

Posted byブクログ