睡眠学の権威が解き明かす眠りの新常識 の商品レビュー
眠りの新常識とは、万人に共通する理想の睡眠なるものなど存在しないという驚きの話である。ともすれば、「しっかりと睡眠をとること」は脳や身体を休めるために必要なことと考えられているが、実はそうした思い込みが強すぎるあまり不眠になってしまうケースがあるという。そして不眠であることに悩...
眠りの新常識とは、万人に共通する理想の睡眠なるものなど存在しないという驚きの話である。ともすれば、「しっかりと睡眠をとること」は脳や身体を休めるために必要なことと考えられているが、実はそうした思い込みが強すぎるあまり不眠になってしまうケースがあるという。そして不眠であることに悩み、無理やり早く寝床に入り、眠れず、悩み、という悪循環に陥りやすい。 これは、健康のためと言って睡眠を過度に理想化してきた既存の睡眠本の思わぬ逆効果と言えるだろう。「睡眠障害の治療とガイドライン」の編著者である睡眠障害研究の専門家がこうしたことに言及しているのは、それだけ重みもある。 内容としては一般向けに分かりやすくまとめられており、年齢や原因も様々なケースを挙げていて分かりやすい。総じて言えるのは、睡眠を厳密に考えすぎず、あくまでも自分の眠いという感覚を大切にすることが大切だという点で、歳を重ねるにつれて睡眠が早くなるのは自然なことであると受け入れることだ。日中に常に強い眠気があるなど、生活に支障をきたす場合には、サングラスによる体内時計の調節や、場合によっては背後にある睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群、うつ病などそれぞれの原因に対する治療を行ってゆく。不適切な介入は改善しないか悪化につながる恐れがある。睡眠中に手足が動く周期性四肢運動障害に睡眠薬を出しても解決しない。そういう場合には睡眠障害の専門医の受診が望ましい。 内容として真新しさは感じなかったけれど、「理想の睡眠法」なるものを一蹴しているところで、眠りに悩む人に一読を薦めたい本である。
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