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1868 明治が始まった年への旅 の商品レビュー

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2019/01/01

1868年の一年間を各月ごとに全章で網羅した一冊。 前半のクライマックスは彰義隊と官軍の上野戦争。幕臣側を挑発するために江戸で略奪、放火などのテロを繰り返したのは西郷隆盛。江戸の庶民は彰義隊びいきだったが、練度に劣り大村益次郎の火力に敗れ去る。上野の森は戦争見物の人出でごった返...

1868年の一年間を各月ごとに全章で網羅した一冊。 前半のクライマックスは彰義隊と官軍の上野戦争。幕臣側を挑発するために江戸で略奪、放火などのテロを繰り返したのは西郷隆盛。江戸の庶民は彰義隊びいきだったが、練度に劣り大村益次郎の火力に敗れ去る。上野の森は戦争見物の人出でごった返し、出店でにぎわった。 新政府は決して最初から無血革命を誇っていたわけではなかった。「江戸を制圧したとはいえ、新政府側は『不完全燃焼』でした。武力を誇示して権力を取ったという実感は乏しかったのです。革命政府たる新政府軍は・・・東北に徳川幕府の代役となることを欲していたのです」(P214)。そして始まる奥羽列藩同盟と官軍の会津をめぐる戦い(八重の桜)。会津落城、朝敵の汚名は、ちょうど干支が一周する60年後、秩父宮と会津藩主松平家息女の婚姻という形で解消することになる。 もちろん本書のメッセージは単なるアンチ官軍ではない。莫大な石高を持つ徳川など守旧派のプレッシャーの中、個々の下級役人の活躍は素晴らしい。外国人殺傷事件を理由にここぞとばかりに駐留してくる外国軍を巧みな外交手腕で撤兵させ、医療免許制度を整え、近代国家の体裁を整えていった。12月、それまで「内戦中立」を守っていた列強が明治政府を承認。もじどおり激動の1年だったのだな、と。 読後の感想。日本古来、と思っていることの多くは割と明治以降。例えば初もうでも江戸時代にはなかった風習。もう一つ、逆を言うようだが連綿と続く古来の価値観。江戸遷都に際して、明治天皇が最初におこなったのは崇徳上皇の鎮魂。国を動かすときは上皇の「祟り」に配慮することは千年経っても変わらないのがすごい。

Posted byブクログ