イオマンテ の商品レビュー
狩猟採集社会における「贈与」を理解したくて読んでみた。そこでは「贈与」が魂の幸福を生み出すらしい。どゆこと??という疑問が氷解した。 カムイの国から贈り物としてやってくるキムンカムイ(熊)をカムイの国へお返しするのがイオマンテ(熊送り)。予備知識としてそこまでは知っていたので、イ...
狩猟採集社会における「贈与」を理解したくて読んでみた。そこでは「贈与」が魂の幸福を生み出すらしい。どゆこと??という疑問が氷解した。 カムイの国から贈り物としてやってくるキムンカムイ(熊)をカムイの国へお返しするのがイオマンテ(熊送り)。予備知識としてそこまでは知っていたので、イオマンテは育てた子熊を殺して食べること、それだけのことだと思っていた。そんなことはなかった。子熊を育てる中で、アイヌとキンカムイは強い絆で結ばれていく。両者の間に魂の紐帯が築かれる。だからこそ、「贈与」が倫理あるいは祝福になるのだと感じられた。 イオマンテは、単なる豊穣の祈りではなく、自分という存在がどこからやってきてどこへ帰っていくのかを、繰り返し繰り返し自らに語ること。それは、存在することそのものが「贈与」であり祝福だと体に染み込ませる行為なんだと思う。なるほど。そこには魂の幸福が生まれて当然だ。 というのが理屈の部分。 一番は、主人公とキンカムイの絆に涙する。
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イオマンテについて知ることができるだけでなく、そこにこめられたアイヌの人々の思い、考えを感じることが出来る。 それでいて、創作物語になっている。 最初のエピソード、そして最後の1ページ、心に残る。
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イオマンテとは子熊を山の神のもとに返し、命を頂く儀式。 母熊を殺して食べるのも人間の都合だし、残った子熊も飼いきれないし自然にも返せないので殺して食べるというのも人間の都合。それでも精一杯丁寧な儀式を行い、山の神と崇めて感謝することは忘れない。 自然と人間の生活とのバランスが取れ...
イオマンテとは子熊を山の神のもとに返し、命を頂く儀式。 母熊を殺して食べるのも人間の都合だし、残った子熊も飼いきれないし自然にも返せないので殺して食べるというのも人間の都合。それでも精一杯丁寧な儀式を行い、山の神と崇めて感謝することは忘れない。 自然と人間の生活とのバランスが取れた社会という感じがする。
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