ひみつのはんぶんこ の商品レビュー
映画「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」の少女を、幼なじみの男女二人に振り分けたような思春期ものドラマといえそうだ。主人公の女の子は思春期の性的成熟を迎えて悩む。そして幼なじみの男の子がいるが、「その男の子のようになりたい」と感じる。しかしそれは性同一性障害のように恒久的ではない一...
映画「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」の少女を、幼なじみの男女二人に振り分けたような思春期ものドラマといえそうだ。主人公の女の子は思春期の性的成熟を迎えて悩む。そして幼なじみの男の子がいるが、「その男の子のようになりたい」と感じる。しかしそれは性同一性障害のように恒久的ではない一過的な悩みであり、主人公はいずれ自分の女性性を受け入れるであろうことが暗示されている。女性としての性同一性を容易に受け入れられない、子供としての主人公の不安定な様子が、性同一性障害に近い感覚を呼び起こしているのであろう。その他の人間ドラマは比較的薄味で、その「男の子になりたい」という表現が作品の中心となり、叙情的な描線が作品の空気を膨らませている。あとがきによれば「男の子になりたい」という感覚には、著者の体験が反映されており、おそらくはその点にリアリティがある。
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