からっぽの冷蔵庫 の商品レビュー
大原悦子さんの『フードバンクという挑戦』の最後に、日本独自の「山梨モデル」として知られるフードバンク山梨が紹介されていた。その流れで、同法人の創設者である米山さんの著書に手が伸びた。 本書はまず、マザー・テレサの「日本人は、まず日本の中の貧しい人たちのことを考えなさい」という印...
大原悦子さんの『フードバンクという挑戦』の最後に、日本独自の「山梨モデル」として知られるフードバンク山梨が紹介されていた。その流れで、同法人の創設者である米山さんの著書に手が伸びた。 本書はまず、マザー・テレサの「日本人は、まず日本の中の貧しい人たちのことを考えなさい」という印象的な言葉から始まる。この言葉が米山さんの行動指針になっているという。 フードバンク山梨の活動は地元密着型である。米山さんは法人立ち上げに際して、セカンドハーベスト・ジャパンの視察に赴くが、活動資金が外資系企業からの献金であると聞き、山梨のような地方では難しいと判断する。紆余曲折経て至った解決策は、「行政との連携」という方法である。 またセカンドハーベスト・ジャパンが基本的に施設や団体に食品を提供するのに対し、フードバンク山梨は、学校やPTAと連携して、個人宅へ郵送する方法を採る。米山さんの活動からは、子どもの貧困への強い危機感が感じられる。詳細は本書を読んでほしいが、学校にはフードバンクの利用が伝わることはない。そこは徹底して配慮している。海外のフードバンクは、困窮者が直接食料をもらいにくるが(そういえば、映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」でもそんなシーンがあった)、近所に困っていることを知られたくない意識が強い日本では不向きだと考えたそうだ。人とのつながりが密な地方だからこそ生まれた方式とも言える。 ふと思って地元近辺を検索してみると、なんとちゃんとフードバンクがあった。1年前から活動を開始したらしい。アメリカ発祥のフードバンクが、現在、少しずつ日本でも広まってきていることを感じる。
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フードバンクから見る子どもの貧困の実態がよくわかります。 思いがあってもここまでの支援はなかなかできないもの。それを支える運営の仕組み等ももう少し教えて欲しかったです。
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