作家で十年いきのびる方法 の商品レビュー

鯨統一郎(著者)

2019/02/05

トリッキーで芸達者，それでいて筆の速い鯨統一郎氏の半自伝的小説。保険業を営みながら作家を志して苦節17年，『邪馬台国はどこですか？』でデビューした伊留香総一郎（以上は前作『努力しないで作家になる方法』で）の，その後を描く。作家の生存率は高くない。次の仕事の注文があるかどうかを決める新刊の売れ行きを気にかけながら，保険会社の上司の言葉「お前の武器は何だ？」を肝に銘じて努力の毎日。この本には鯨氏が実際に使った小説作法も書かれている。デビューから10年間生き延びた後に伊留香総一郎が自分の武器だと悟ったものは何だったのか。