写真集 タウシュベツ川橋梁 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とにかく美しい写真集で、息を呑むってこんな感じか!とため息がでる。プロのカメラマンではない様子だけど、とにかく美しい。この橋と、その周辺の景色に魅せられて、写真を取り続けたくなる気持ちは想像できる。宇宙ステーションが通りすぎるページや、大きな虹がかかるページ、けあらしの中に佇む姿、どれも美しくて見惚れた。 7月だったか、8月だったか、毎日新聞のLINE記事に、この写真集の続編が出版されたという内容が載っていて、思わず図書館検索。「とりあえず前作でいいから借りよう」というライトな気持ちで予約。手元に届いて、うれしくて、巻末のフォトリストを読みながらマジマジと見た。 しかし、解説を読むとなんとも複雑な気持ちになった。 鉄道を引いたものの、たった18年で配線にして野ざらしになって、しかも厳寒の地でダムに沈んだりまた出てきたりするのが物珍しいからって話題になって、なんかちょっと色々と勝手すぎやしませんか、って橋が言ってるような気がしてせつなくなってしまった。 この橋が100年とか、わりと長い年月使われたものだったら、ただただ「きれい…!」と思っただけだったかもしれない。もっとも、こんな過酷な気象条件ではそんなに長持ちしないだろうけど…。 土木技術のことはなにも知らないド素人の感想だけど、「いつか自然に還る」とはいえ、鉄骨鉄筋コンクリート造。コンクリートは地元の土や石で作ったらしいけど、鉄骨が完全に土になるまでには長い年月がかかるはず。造って、放置して。歴史遺構のことはあんまり興味ないのだけど、造ったものをどう手仕舞いするのか、なんだか考えさせられる。
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