1,800円以上の注文で送料無料

ミナトホテルの裏庭には の商品レビュー

3.7

60件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    21

  3. 3つ

    25

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2025/01/22

寺地さんの作品はただの癒されるような、ほんわかとした話では無いのに、不思議と柔らかな風景が浮かんでくる。

Posted byブクログ

2024/11/21

寺地はるなさんの作品は、“ぼくの心のやわらかい場所”をスゥッと突いてくるものが多いので、ついつい手に取ってしまいます。 ただ題材によっては、リアルにしんどくなってしまう怖さもあるので(まさに“諸刃の剣”)、その辺用心しながらチョイスしております~・・ま、そこは読んでみないとわから...

寺地はるなさんの作品は、“ぼくの心のやわらかい場所”をスゥッと突いてくるものが多いので、ついつい手に取ってしまいます。 ただ題材によっては、リアルにしんどくなってしまう怖さもあるので(まさに“諸刃の剣”)、その辺用心しながらチョイスしております~・・ま、そこは読んでみないとわからないのですけどね・・と、前置きはこの辺で 笑。 本書は、「わけあり」のお客ばかりが泊まりにくる、〈ミナトホテル〉を巡る、連作三話が収録されております。 ・祖父からの依頼で〈ミナトホテル〉の裏庭に通ずる鍵探しをすることになった"芯”こと芯輔視点の、ほぼ長編のような中編「咲くのははなだけではない」 ・芯の祖父の友人で〈ミナトホテル〉の経営者・湊篤彦の亡き母・陽子さん視点の短編「手の中にある」 ・芯の務める会社で働いていた派遣社員・花岡さん視点の短編「魔法なんてここにはない」 何だか文体が、これまで読んだことのある寺地作品と若干違う気がして「ん?」となりましたが(スミマセン、文体フェチなので・・汗)、こちらは結構初期の作品だからなのですかね~・・とはいえ、寺地さんならではの心理描写の絶妙さや、人の繊細な内面を言語化する巧さに感心しながら読みました。 追い詰められた人達がやってくる〈ミナトホテル〉。 そんな宿泊者たちをまるっと受け入れる、オーナーの“ミナト”こと篤彦の飄々としているけど本質をつく言動には、ハッとさせられるものがありました(桐子さんへの無償の愛もいじらしい・・)。 そんな篤彦も、子どもの頃はすごく可愛らしくて、彼を溺愛していた“母”・陽子さんのお話がまた切ないのですよ~。 陽子さんが、自己犠牲が過ぎて不安定になってしまう場面で、彼女の友人が言った、 「自分自身をないがしろにしている人が、誰かを大切にできるわけがない」 という台詞は、私の心にも刺さりました。 一方、“嫌なヤツ”の描写もリアルでして。 芯の上司で、フキハラ(不機嫌ハラスメント)&モラハラ&パワハラ野郎の渡部や、花岡さんの元恋人の、二股(多分コイツはもっとしていると思うけど)激イタオジの塩川、そして桐子さんの元夫でモラハラDV男・佐藤といった、彼らの“終わっている”感じががヤバかったです。 篤彦に“良い意味で冷淡”と言われる程、人との距離を詰めないタイプの芯が、花岡さんを揶揄した渡部に 「他人は自分の精神を安定させるための道具じゃないんですよ」 と、キレた時は“芯、よう言った!”と褒めてあげたくなりました。 ということで、みんな色々なものを抱えながらも日々を生きているのだな・・としみじみ思わせる内容でございました。 うん、この世知辛い世の中、逃げ場は必要ですよね~・・因みに私は“本”に逃げております(´▽`;)ゞ

Posted byブクログ

2024/11/16

/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/    なかなかに、面白かったです。 小説面白いな〜と、しみじみと感じました。 とても重い感じのお話に感じましたが、それと同じくらい、優しさを感じるお話でした。優しさが溢れていて、ちょっと、泣けてきました。 「心から血が...

/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/    なかなかに、面白かったです。 小説面白いな〜と、しみじみと感じました。 とても重い感じのお話に感じましたが、それと同じくらい、優しさを感じるお話でした。優しさが溢れていて、ちょっと、泣けてきました。 「心から血が流れている…」 そんな表現があって、ドキッとさせられました。 心から血が流れるほどに、心を感じたことがない。それが、自分という人間かもしれない。 そんなふうに、心のありかを探してしまいました。 ※5秒くらい。 そして、「好意のようなものに期せずして触れてしまう瞬間」という表現があって、心に触れるような感覚はあっただろうか…と、考えちゃいました。 自分に心がないから、相手の心も見ることができない。そんな感じかもしれない…と、、、 これは、ヤバい。もっと、心に目を向けていかなければ、と、真剣に反省しました。 なんか、表現がとても素敵で、読む手が都度止まってました。登場人物たちの中に、自分も混じったような感覚になって、自分をみつめる瞬間も感じる作品でした。 /_/ あらすじ _/_/_/_/_/ ミナトホテルを経営する篤彦が骨折してしまい、その手伝いと、鍵探しというミッションを抱えて、芯がミナトホテルに通い始めます。 芯を中心にしたお話から、陽子さんのお話に展開していきます。 /_/ 主な登場人物 _/_/_/  木山芯輔 芯、25歳、なんでも引き受けちゃう人 花岡月子 社長に振られた 湊篤彦 あつひこ、5年ぶりに会う、37歳、カラスのような人 湊陽子 母、互助会、ポワポワ感の人、故人 湊正孝 父 平田桐子 37歳、病院勤務、湊同級生   葵  4歳、息子 木山覚次郎 芯祖父 美千代  福田   湊陽子

Posted byブクログ

2024/11/09

あたたかくて、良いお話だった。 主人公の寡黙な性格もあり、終始落ち着いたトーンで読みやすい。後ろに構える人生の先輩達がそれぞれとても素敵で、安心感がある。

Posted byブクログ

2024/10/27

素敵だなあ。 人の人生って素敵なだけじゃないんだけど、寺地はるなさんの描く人生はそういう素敵じゃない部分もまとめて素敵で愛おしい。

Posted byブクログ

2024/10/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

木山芯輔 周囲の人間誰ひとり、名付けた両親ですら「長い」と言う理由で、正式名称では呼ばない。芯、と呼ばれている。ミナトビルに住む湊篤彦を訪ねるべし、と祖父から命じられた。ミヤムラ総合経営研究所に勤務。 湊篤彦 三十七歳。階段から落ちて骨折。全治三ヶ月。 木山覚次郎 芯の祖父。 湊陽子 芯の祖父の同級生で、篤彦の母親。心臓を悪くして、病気がわかってからわりあい短い期間で亡くなった。祖父と福田の初恋の人。ミナトホテルの経営者だった。 福田 芯の祖父の同級生。丸顔の爺さん。 美千代 芯の祖父の同級生。銀髪の婆さん。自宅で書道教室をやっている。 初瀬 芯の学生時代からの友人。 平田カラメル 篤彦が飼っている猫。 渡部 ミヤムラ総合経営研究所に勤務する税理士。 横田 ミヤムラ総合経営研究所のパート。 花岡月子 ミヤムラ総合経営研究所の派遣社員。 葵 桐子の息子。 平田桐子 湊が運ばれた総合病院で働いている。 ユウト 推定中学生。 湊正孝 陽子の結婚相手。ミナトビルの元の所有者。 桜子 陽子の妹。篤彦の母。結婚相手は、陽子がお見合いをして結納まで済ませた相手だった。 塩川 瀟洒な自社ビルを所有している社長。 ふた月に一度の頻度で、ぐっすり眠るためにここへやってくる女。 石田 陽子の見合い相手。桜子を妊娠させ、結婚する。 香椎莉子 かし子。花岡の高校からの友人。

Posted byブクログ

2024/10/06

寺地さんの作品に出てくる人生の先輩たちが好きなのだが、本作も芯のお爺さんをはじめ、素敵な歳の重ね方をした御方たちが頼もしい。 どちらかというと、芯や月岡さんたち若人組の、現在に精一杯で、次々起こる出来事に振り回される感じに共感する。でも、今もがいている人の心に凪が訪れるような言...

寺地さんの作品に出てくる人生の先輩たちが好きなのだが、本作も芯のお爺さんをはじめ、素敵な歳の重ね方をした御方たちが頼もしい。 どちらかというと、芯や月岡さんたち若人組の、現在に精一杯で、次々起こる出来事に振り回される感じに共感する。でも、今もがいている人の心に凪が訪れるような言葉をかけたり、行動ができる人になれたらいいな、と感じた。

Posted byブクログ

2024/08/28

頑張りどころと、そうでないところ 働くのは食うためだ。 食うのは、生きるためだ。 生きるための仕事で死ぬな。 だから頑張りどころを見極めろ。 1人で写ってる写真しか残ってなくても撮ってる時の顔は覚えている。 咲くのは花だけでないんですね。

Posted byブクログ

2024/08/16

こちらもチャプターズ書店のYouTubeで気になった一冊です。 寺地さんは「大人は~」「ほたるいし~」に続いて3作品目です。 帯は、 ------------------------- 笑えなくなったら、 泊まりに来て ください。 ------------------------...

こちらもチャプターズ書店のYouTubeで気になった一冊です。 寺地さんは「大人は~」「ほたるいし~」に続いて3作品目です。 帯は、 ------------------------- 笑えなくなったら、 泊まりに来て ください。 ------------------------- 大正末期に建てられた「ミナトホテル」 このホテルには少し訳ありのお客様が訪れる。 亡き母の後を継いだ湊篤彦。 湊の母と友人だった祖父の依頼でホテルを訪れた芯。 湊が足を骨折してしまったことから、 祖父からの依頼事項「湊の母の遺品から裏庭のカギを探すこと」に加え、フロント業務と湊の飼い猫 平田カラメルを探すことになる。 最初は物語に入り込めず、 読み進める手が鈍りそうでしたが、 芯の職場(会計事務所)の話あたりから だんだん続きが気になるようになり、 最後まで一気に読み切りました。 みんな見えないところで悩んで葛藤して苦しんで、 さみしい気持ちを抱えて、 それでも誰かに愛されて癒されて 大切な気持ちをもらっている。 湊を見ながら、 わかっているなりの愛し方ってあるよな、と思う。 芯と祖父とのやりとりでは不覚にもうるっと。苦笑 寺地さんの作品て、 すかっとするとか、ザ決着!はなく、 それぞれの今後について含みを持たせてくれるので、 読後感がとても良いです。 それでも明日はくるし、 日々は続いていくという感じが。 そこに「在る」というだけで安心できたり、 勇気をもらえたり。 寺地さんの作品、やっぱり好きだなと思えた一冊です。

Posted byブクログ

2024/07/14

主人公の芯が祖父の頼み事で、港ホテルの裏庭のカギを探しているうちに、陽子さん湊さん花岡さん…それぞれ壮絶な人生を触れていく。それぞれの登場人物に感情移入しすぎて、苦しくなった。 寺地はるなさんの小説は初めてだったが、親近感の湧く物語だった。

Posted byブクログ