アースダイバー 東京の聖地 の商品レビュー
アースダイバー第三弾。今回は、スピリチュアルブラタモリではなく、研究対象地(築地、明治神宮)に対する中沢的視点で切り取りまくった書。 相変わらずの中沢節で、読んでて『ホンマかいな。』と感じてしまい、ガードしながら読み進めた。 江戸の市場は大阪から専門家を呼んで作り上げ、日本橋か...
アースダイバー第三弾。今回は、スピリチュアルブラタモリではなく、研究対象地(築地、明治神宮)に対する中沢的視点で切り取りまくった書。 相変わらずの中沢節で、読んでて『ホンマかいな。』と感じてしまい、ガードしながら読み進めた。 江戸の市場は大阪から専門家を呼んで作り上げ、日本橋から築地へ移転したのは震災がきっかけ。明治神宮は明治天皇が祭られており、民間の声をきっかけに検討が進み、作られた。というのは、調べて裏を取ったので本当です。
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帯表 ほんものの保守思想の根源がここにある! 海民の二千年の知恵=築地市場 太古の無意識の現出=明治神宮 日本人の暗黙知が生み出した天才的な「生命体」を次なる世代へと受け継ぐために 写真・大森克己 建築家・伊東豊雄氏との対談2編収録 帯背 金銭にかえられない「愛」と「富み」のあり...
帯表 ほんものの保守思想の根源がここにある! 海民の二千年の知恵=築地市場 太古の無意識の現出=明治神宮 日本人の暗黙知が生み出した天才的な「生命体」を次なる世代へと受け継ぐために 写真・大森克己 建築家・伊東豊雄氏との対談2編収録 帯背 金銭にかえられない「愛」と「富み」のありか 帯裏 築地市場は江戸湾を埋め立てた土地の上につくられた魚市場であるし、明治神宮にいたっては代々木の荒れ地に植林してできた人口の森につくられた、創建のきわめて新しい神社にすぎない。 しかしこのおよそ非アースダイバー的場所に一歩足を踏み入れた私たちは、そこにほかのどんな場所にもまして、日本人の伝統的思考が凝縮されて表現されていることを見出して驚くことになる。 まるで白いキャンバスの上に緻密な絵画を描いたように、この二つの場所には、日本人の思考が「聖地」に見出してきた空間の構成原理が、ほとんど純粋な状態で実現されている。 その二つの生きた聖地が、深刻な危機に直面したのである。 (序文「聖地の条件」より)
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p.87 魚河岸が、海の自然と人間をつなぐインターフェイ)の働きをしている。魚河岸を通過することで、自然界のものが文化的なものに変身する。そういう転換の場。 p.89 魚河岸という境界には、代々の仲卸によって、海の食材に関する膨大な知識が蓄積された。里山は農村文化での境界。 p.167 明治神宮が古代天皇の御陵を思想的モデルとした。 p.174 昭和天皇は「雑草というものはない」。明治神宮の森と吹上御苑は同じ思想。外の世界の影響が及ばない自由な空間であり、力からの自由が森から放たれている。
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築地市場と明治神宮。人工的に作り出された場所でありながら(前者は埋立地、後者は練兵場の跡地に植林)、「そこにほかのどんな場所にもまして、日本人の伝統的思考が凝縮されて表現されている」(序文より)、と著者は主張する。 海の民は、古より天皇家に海産物を届けるという役割を担って来た。...
築地市場と明治神宮。人工的に作り出された場所でありながら(前者は埋立地、後者は練兵場の跡地に植林)、「そこにほかのどんな場所にもまして、日本人の伝統的思考が凝縮されて表現されている」(序文より)、と著者は主張する。 海の民は、古より天皇家に海産物を届けるという役割を担って来た。その流れを汲む魚河岸の気風は、関東大震災を機に日本橋から移転した築地においても受け継がれた。戦前建築の代表作ともいうべきカーブを描いた建屋の中で味の目利きとしての仲買人が立ち回るさまは、「制御された混沌(Controlled chaos)」と外国の人類学者に言わしめた。豊洲は幹線道路によって敷地を4つに分断し、この類まれな秩序をズタズタにしていると著者は憤る。 私の感想では、つまるところ市場における「仲買」の機能をどう評価するかで解釈は変わる気がした。著者が言うような味覚の目利きだとすればその機能が豊洲では制限される、という意見にも一理ありそう。一方で、時代遅れの中間流通だと考える人にとっては豊洲は物流効率化の第一歩となるだろう。著者の立場は最終的には「アンチ市場至上主義」ながら、「市場そのもの」を論じていることで若干の錯綜は感じざるを得ない。 その点、明治神宮についての著者の筆はいっそう冴え渡る。内苑と外苑との二元構造は、「閉ざされた見えない空間から、神々があらわれ出ようとする」ときに生まれる聖なる力(ミアレ)が無意識に表現されており、それは古くは前方後円墳にも見られると言う。「自然が人間に拘束を課し、その拘束を人間が受け入れながら仕事をおこなうとき、そこには軽やかな自由の感覚が漂うようになる。・・・ここには人間的欲望を解放しきろうとする資本主義にたいする、見えない『結界』が張られてきた。」(p197)。 ザハ・ハディドの新国立競技場案がこの聖性に反しているとの著者の主張には今ひとつ裏付けが感じられないものの、ともあれ著者ならではのイマジネーションの洪水には唸らされる。写真も美しく、建築家伊東豊雄氏との対談も必読。
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築地市場と明治神宮の歴史や場所性を紐解く 築地市場の再開発は聖地となれるのか 今の市場も歴史とシステムの検討の上で作られた 市場機能は無くとも聖地として息づく計画を考えたい 以下読書メモ 築地市場 海民二千年の知恵 明治神宮 太古の無意識が現出 聖地の条件 1 聖地の周りに結界 2 自然と通路を成している 3 生きた人間が活動 いないと遺産 築地市場や明治神宮は聖地性を備える 築地市場 1 市場内で健全な資本主義と高度な味覚文化 2 東京にとって海に開かれた通路 3 数百人もの仲卸の存在 市場の歴史 魚河岸文化 弥生時代からの新鮮な魚介類の欲求 生魚を扱う人々と朝廷との関わり 大阪今宮で供御人が力を持つ 上納した残りを六角市場錦市場あたりへ 荒々しく気風の良い文化が生まれる 戦国時代の大阪 京橋や天満に市場が開設 川魚市場から自由な楽市楽座が広がる その後海魚市場が中之島西の雑魚場に その中で佃村を拠点とした見一一族が台頭 その後江戸へ進出し白魚を江戸城に献上 江戸っ子の文化は佃島日本橋から 佃島の海洋文化は弥生から二千年堆積 入れ墨が多いのは皮膚が自然の一部だから 仲買人 できるだけ良質な魚介類を贔屓に売りたい 深い生物知識や味覚と料理法が蓄積する いわば博物館兼料理法ワークショップ 日本橋から築地へ 明治政府による移転誘導 関東大震災で移転が促進 築地の魚河岸文化 近代市場を参考にしたモダン建築 聖路加のおかげで空襲を免れる 東京の二つの森 皇居 吹上御殿 昭和天皇による全国から移植 明治神宮 民間の力による新しく作られた森 明治神宮 古代の古墳がモデル 内苑と外苑の二部構成 内苑と繋がりながら外部に開く外苑 純粋な祖型としての建築が必要 お金による資産の流動化で根を失う世の中 明治神宮は根を生やした空間の再生を意図
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