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怖い女 の商品レビュー

3.6

10件のお客様レビュー

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2024/03/04

怖い女のルーツを細かに、辿っている良書だと思った。 世界各国、神話の女神たちが敬われながらも恐れられている一面があるのは、子宮を内包するがゆえという印象をもったが考えてみたら、子を育むのも子宮、死を内包するのも子宮。それを神話という形で紬ぎ、時代時代で形を変えて語ってきたのかもし...

怖い女のルーツを細かに、辿っている良書だと思った。 世界各国、神話の女神たちが敬われながらも恐れられている一面があるのは、子宮を内包するがゆえという印象をもったが考えてみたら、子を育むのも子宮、死を内包するのも子宮。それを神話という形で紬ぎ、時代時代で形を変えて語ってきたのかもしれないと思った。

Posted byブクログ

2024/03/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私が幼少時から怖くて怖くて大嫌いだった四谷怪談、その主人公「お岩」と、夫伊右衛門の新しい妻「お梅」の名前の隠された意味に身震いがしました。江戸時代に歌舞伎の脚本としてこの話を書いた鶴屋南北は絶対そこまで考えてなかっただろうに、説得力ありすぎで怖いわ。 神話などに限らず、現代の怪談やホラー小説、映画なども多彩に取り扱っていてとても入りやすい内容。 全体一貫してグレートマザーの陰陽の陰の部分を扱っていて、「怖い女」というよりも「怖い母親」といった印象だった。できれば母親要素を切り離した「母ではない怖い女」の話も読みたいな~。恋愛感情に突き動かされて結果的に大量殺人につながる八百屋お七みたいな女性とか、無垢な少女の純粋な残酷さとか。 私はホラー作品ってあまり見てなくて、この本で取り上げられている「リング」「呪怨」「着信アリ」などは一つも見ていないのだけど、「リング」「呪怨」は呪いが広範囲であることが書かれている。特に「リング」は自己増殖的で、いつどこでそれが自分に降りかかるかわからない怖さがあるようだ。 怪談やホラーは、自分との関わり方という点では「何かの条件を満たしたことで自分が怪現象に遭う」場合と「特に何の理由もなく怪現象に遭う」場合があると思う。前者の条件が必要な怪談といえば、例えばトイレの花子さん。旧校舎の4階の西側の女子トイレ、その奥から2番目のドアを3回ノックして「花子さん、あそびましょ」と呼びかけると出てくる、とかそんな感じの細かい条件があったように思う。コックリさんなども、その儀式に参加さえしなければ基本的に呪われたりすることもない。学校の怪談ネタとしてよく出てくる、どこそこの階段は夜中の何時になると一段増えるとか、踊り場にある大きな鏡に姿を映すとどうなるとか、その怪談の当事者になるには真夜中の学校に忍び込まなければ始まらない話も多い。つまり、怪談の起きるその場所は自分たちの生活の場でありながら、一定の手順を踏んでこちらから関わりを持とうとしたり、夜の学校に来ることさえなければその恐怖は自分に降りかかることはない、というある種の安心が、学校の怪談にはあるように思う。 普通の怪談においても、肝試しでトンネルや廃病院に行く、山の中で禁忌のエリアに入る…など、登場人物が呪われるのには一定の条件を満たしたり、やってはいけない行為をした場合が多い。一方、なんの前触れもなく、当人に過失も落ち度もないのに怪現象に遭遇するパターンもある。「リング」などはかなりこれに近い。なにしろ、呪いを受けてしまった人間が自分の呪いを解く方法が「ビデオをダビングして他人に見せる」ことだから、ほとんど騙し討ちのように呪いをなすりつけられる形になるだろう。ビデオに変わっただけで基本は不幸の手紙と同じ拡散方法で、これを受け取ることは事前に予測することもできなければ防ぐ手段もない。「残穢」もこれに近い怖さなんだろうと思う。土地に残る、自分とは何の関係もない因縁、穢れ。普通に生活してたまたま入居したマンションで怪現象に巻き込まれ、そしてその穢れは人の移動を介してゆるやかに拡散していくことが描かれている。 この「誰でも巻き込まれる可能性がある」ということは怪談の怖さの要素の一つであるように思う。このことは本書の中でも「対象を選ばない無制限性の呪い」として書かれている。 例えば四谷怪談などはお岩の惨たらしい死に様、ビジュアルとしての恐ろしさ、伊右衛門が無惨に呪い殺される結末などは恐ろしいものの、お岩の呪いは自分を陥れた夫の伊右衛門とその協力者にのみ向けられたもので「自分に降りかかるかもしれない恐怖」という点においてはまったく怖さはない。個人的な古典的な怪談って割とこの「対象がはっきりした」話が多いように思う。 素人考えで恐縮だけれど、娯楽としてのホラーが飽和状態になっている現代に、より強い刺激、より怖い怪談を求めるユーザーに対する創作側の答えがこの「対象を選ばない無制限性の呪い」という恐怖の形なのではないかという気がする。 新聞やラジオ、テレビに始まりインターネットに至るメディアの普及によって、人々の意識の及ぶ範囲は桁違いに広がった。自分と関わりない他人の経験した半径10mの身近な生活圏の中で起こる怪異はもう真の恐怖をもたらさず、いつか自分にも降りかかりうる、回避不可能なもらい事故のような恐怖を扱うコンテンツはこの先も増えていくんじゃないかと思う。 (Twitterより)

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2023/01/09

怪異は境界に現れる。 全てはヨモツヒラサカか。。 女神はイコール死神でもある やっぱ一番怖いのはイザナミ!ヨモツシコメも怖いし、 そのワードパワーが圧倒的!! 石とバナナ、均等と不均等。今まで読んだ、これから読む漫画や小説の理解も深まるし、作家様の勉強量に感服です。 沖...

怪異は境界に現れる。 全てはヨモツヒラサカか。。 女神はイコール死神でもある やっぱ一番怖いのはイザナミ!ヨモツシコメも怖いし、 そのワードパワーが圧倒的!! 石とバナナ、均等と不均等。今まで読んだ、これから読む漫画や小説の理解も深まるし、作家様の勉強量に感服です。 沖田さんの本はほんとうに面白い。

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2022/08/03

怪談やホラー映画(リング、呪怨、着信アリ)都市伝説(口裂け女、ひきこさん)洒落怖(八尺様、コトリバコ)の源流を辿る本。神話や古典との関連を分かりやすく紹介しています。「怖い女」を深く知る上でぜひ読んでおきたい一冊です。

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2021/09/20

母であることが怖いと思わせる作品。 飲み込む母にならないためには、母ではない自分を持つ必要があるのではと考えた。 作者がこのテーマを書くに当たり、古今の膨大な量の作品を参考にしているのは脱帽。 ただ、最近映画を見た『ぼぎわんが来る』を批評していたのは苦笑してしまった。他の参考作...

母であることが怖いと思わせる作品。 飲み込む母にならないためには、母ではない自分を持つ必要があるのではと考えた。 作者がこのテーマを書くに当たり、古今の膨大な量の作品を参考にしているのは脱帽。 ただ、最近映画を見た『ぼぎわんが来る』を批評していたのは苦笑してしまった。他の参考作品にははそんな事してないのに!どうした?

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2021/05/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エンタメ的な面白さはあり、実際に読んでいる時は引き込まれた。様々な「怖い女」が取り上げられているのも良かったし。 ただ、製作者はそこまで意識していないんじゃないかなぁってところも多数あり。

Posted byブクログ

2020/01/19

神話や都市伝説に登場する女神や女性の怖さを語っているのかと思いきや、読み進めていくと根底には「母性」の怖さという身近に起こり得ることが潜んでいる。作者の観点が独特すぎる。

Posted byブクログ

2019/12/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

女は生命を産み出す女神であると同時に人を殺す女神でもある。どちらを重く見るかによって女性に対する接し方も変わるのだろう。

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2018/04/24

100殺!ビブリオバトル No.74 夜の部 第10ゲーム「三位一体ビブリオバトルその2」 [チャンプ本!]

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2018/03/13

日本の怖い女の原点、古事記のイザナミ、国土と神神を生み出す美しい女神、黄泉の国から死の運命を宣告する恐るべき女神に変貌、女神と言うものの本質をイザナミは表している、イワナガヒメトこのはなさくや姫の神話

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