考古学のための法律 の商品レビュー

久末弥生(著者)

2019/08/07

発掘調査費用の負担問題、発掘調査による出土品の評価や所有権の問題、発掘調査後の土地の保存問題など、考古学や埋蔵文化財をめぐっては様々な法的問題が存在する。本書は、国公有地及び国公有財産に関する法制・訴訟の研究者である著者が、考古遺産法制を多面的に論じることを通じて、考古学を法的観点からサポートすることを目指して執筆されたものである。
類書のあまりないテーマで、考古学関係者には有益な一冊だとは思うが、内容に重複があったり、考古学とあまり関係のないテーマ（万国博覧会など）が取り上げられていたりして、全体としてあまり洗練された構成になっていないと感じた。また、多くのページを割いているイギリスやフランスなど海外の考古学法制については、学問的には興味深い内容かと思われるが、我が国の考古学に関する実務にはあまり役に立たない内容なような気がした。