偉大なる宇宙の物語 の商品レビュー
『宇宙が始まる前には何があったのか?』がベストセラーとなった物理学者ローレンス・クラウスによる、ファラデー以降の物理学史。3部構成の序盤は読みやすいが、量子力学が登場した辺りからは内容が難しくなる。エピソードや比喩を散りばめ、読者を突き放さないという努力の跡は見えるが、ある程度の...
『宇宙が始まる前には何があったのか?』がベストセラーとなった物理学者ローレンス・クラウスによる、ファラデー以降の物理学史。3部構成の序盤は読みやすいが、量子力学が登場した辺りからは内容が難しくなる。エピソードや比喩を散りばめ、読者を突き放さないという努力の跡は見えるが、ある程度の物理学の素養や背景知識がないと読み進めづらい。第3部に至っては、著者自身、読者に何とか分かってもらおうとする努力を放棄しているようにも思えるが、これは私の理解力不足による穿った見方かも知れない。 ところで、「これまでに書かれた物理学文献のほぼすべてを読んでいて、その情報を完全に吸収している」フランク・ウィルチェックという物理学者が登場するが、こんな人物が存在する事に驚いた。私も研究者の端くれとして、自分の専門とする狭い分野の文献には多く目を通すが、それでも文献を網羅する事はできない。ましてや、経済学全体の文献など不可能だ。1980年代はまだまだ論文数が少なかったのかもしれないが、俄には信じがたい。世の中は広い。
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素粒子物理学における標準模型構築までの物理学者たちの物語。観測·実験から得られるファクトとその背景を推測とロジックで解きほぐし理論化、そしてそれをまた観測と実験により検証していく。そんな過程を数式を使わず物語として語ってくれる展開をワクワクしながら読み進められた。 内容が物理法則...
素粒子物理学における標準模型構築までの物理学者たちの物語。観測·実験から得られるファクトとその背景を推測とロジックで解きほぐし理論化、そしてそれをまた観測と実験により検証していく。そんな過程を数式を使わず物語として語ってくれる展開をワクワクしながら読み進められた。 内容が物理法則なだけに、時に「ん?どういうこと?」と読み返すこともあったが、全編を通じて「なるほど、そういうことか」「実におもしろい」と何度呟いたことか。 本書は、知的好奇心を掻き立て満たしてくれる極上のエンターテイメント。
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