ジェネリック の商品レビュー
何をもってジェネリックなのか。 新薬と「同じ」なのか。 何が「同じ」なのか。 「同じ」であれば代替できるのか。 ジェネリック医薬品の政治と科学について、様々な角度から、アメリカにおける歴史を記述。 登場人物、機関の複雑さには辟易したけど、語られるドラマには熱中できた。 ジェネ...
何をもってジェネリックなのか。 新薬と「同じ」なのか。 何が「同じ」なのか。 「同じ」であれば代替できるのか。 ジェネリック医薬品の政治と科学について、様々な角度から、アメリカにおける歴史を記述。 登場人物、機関の複雑さには辟易したけど、語られるドラマには熱中できた。 ジェネリックに限らないが、政治と科学のせめぎ合いでは、科学で絶対を説明できないところに、政治の論争が入り込む余地がある。 論争では、合理的な判断は多くの場合に最重要ではなく、参加者のイデオロギーが争われる。 この点、ジェネリックにおいては、製薬会社の利益と公共の安全性がせめぎ合う。 医薬品の在り方についても考えることができる、良い読書でした。
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日本でジェネリックが本格的に使われてからまだ日が浅く、「同じ薬なら安い方がいいのでは」という程度の認識しかなかったが、「同一性」といっても色々あるし、製薬会社を始めとした関係者の利害関係も複雑で、欧米ではこれまで紆余曲折があったことなどがよく分かる。(今も同一性については国によって考え方が違い、ジェネリック代替を認めている国もある) しかし、しょせんは薬事法などの関係諸法、処方箋発行の仕方、保険システムなどが日本と全く異なる国の話なのでピンとこない部分が多い。 ・1984のハッチーワックスマン法によってジェネリック業界が誕生した。処方薬に占める割合は1984年の18.6%から2007年には63%になった。 ・薬の名前は通常、3つある。IUPAC(国際純正・応用化学連合)の命名規則にのっとった化合物としての名称( (5α,6α)-7,8-didehydro-4,5-epoxy-17-methylmorphinan-3,6-diol diacetate)、一般名(ジアセチルモルヒネ)、商品名(ヘロイン) 一般名も商品名も製薬会社が決めるため、一般名を覚えにくいものにして商標は覚えやすいものにすることも多い。そうすることで自社製品が市場に長く残りやすい ・同一性とはなにか。例えば、スタチンであればAUCも同じ、すなわち生物学的に同一なプラバスタチンでないとだめなのか、単に構造式が同じだけの化学的に同一なプラバスタチンであればよいのか、あるいはジェネリック代替を認めてスタチンであれば何でもよいとするのか 1960年の抗凝固剤などは作用の強さが全く異なっており化学的同等性だけではダメで、生体内での反応を見る必要があると言われた クロラムフェニコールも消化管のごく一部でしか吸収されないため、製剤の微妙な違いが血中への吸収に大きな違いをもたらす。AUCを測り同等性を示すことで販売が認可された。 このように 生死に関わる薬で 剤形が固形で 比較的溶けにくく これまでにも吸収に問題があった とされるもの では生物学的同等性を示す必要がある とはいえ、生物学的同等性を示すのは大変である。ジアゼパムの場合、30人の被験者を16日間、2000回の採血をすることが求められており、10万ドル程度のコストが掛かるものであった ・タンパク質のような高分子化合物の場合、2つバージョンが分子レベルで同一だということを証明する方法はない。同一性は担保されず、バイオシミラーとして許容しようという流れになっている。 ・ジェネリックが先発品と全く違いがないとすれば、ジェネリックメーカー各社はどう差別化すればよいのか。マーケティングの科学は差異の科学だ。 ・人間は基本的に、他の品物やサービスよりも健康に価値を置くので、医療の意思決定には他の経済活動の「合理的な消費者」モデルとは異なるルールが必要になる
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アメリカのジェネリックの歴史について書かれているけれども、アメリカの医療と薬の仕組みについてよくわからないのでなかなか理解しづらい。
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