裁判の原点 の商品レビュー
最近の図書館で借りる本のラインナップから、娘に「裁判するの?」と心配されてます。 とても軽い気持ちで借りて、ちょっと後悔。 帯にあった「重要判決から考える、正義・民主主義・国のかたち」 まさに。そして重い。 裁判から政治について思考が及ぶとは思わなかった。 全国で一斉に起こる...
最近の図書館で借りる本のラインナップから、娘に「裁判するの?」と心配されてます。 とても軽い気持ちで借りて、ちょっと後悔。 帯にあった「重要判決から考える、正義・民主主義・国のかたち」 まさに。そして重い。 裁判から政治について思考が及ぶとは思わなかった。 全国で一斉に起こる、一票の格差訴訟、の意義。 何のために裁判をするのか。 裁判所は万能ではなく、正義を実現するための機関でもない。 裁判は手段であって目的ではない。 終わりに、の「正義は正しさではない。」は考えさせられた。 特定の人の価値観・善の構想の実現手段ではない。 問題を解決し、共存を可能にする制度。 問題を抱えながつつ、解決への道を探し続ける。 いつか成熟すればそんな日も来るのか。 人が人を裁くことの意味、正義の定義、そんなことも今後考えてみたい。 裁判外においても、客観性(中庸)が必要だと思う。 でも、裁判と違って(安易すぎるのは論外だけれど、)同調もありなのかも、とちょっと考え方が変わった。 裁判ではない、調停だからこそできる和解があってもよいと思う。 裁判外で行うことの意義は、そんなところにもあったらいいなと思う(大岡裁き的なやつ)。
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これまでの重要裁判を紹介しながら、裁判の可能性と限界が分かりやすく示されていた。本書を読んで、少数者の権利利益を守るための司法の役割はたしかに重要であるが、政策形成訴訟の解説を読んでいるとこれまで裁判所に本来の役割以上のものを期待して来たのではないかとも感じた。また、政治が必ずし...
これまでの重要裁判を紹介しながら、裁判の可能性と限界が分かりやすく示されていた。本書を読んで、少数者の権利利益を守るための司法の役割はたしかに重要であるが、政策形成訴訟の解説を読んでいるとこれまで裁判所に本来の役割以上のものを期待して来たのではないかとも感じた。また、政治が必ずしもそれぞれの利害関係だけで動く世界だけではないという説明はなかなか興味深いものであった。このような動的な視点から描かれた法学入門の書はあまり知らず、面白く読み通すことができた。
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裁判という制度に人々が抱きがちなイメージ(真実の発見手段・正義の実現手段であること,それなのに重要な判断を避けがちであること)は幻想にすぎない。そのことを事例を紹介しながら丁寧に説き,裁判とは現実的には何を期待すべき制度であるのかを読者とともに探っていく。憲法・権力分立と日本の司...
裁判という制度に人々が抱きがちなイメージ(真実の発見手段・正義の実現手段であること,それなのに重要な判断を避けがちであること)は幻想にすぎない。そのことを事例を紹介しながら丁寧に説き,裁判とは現実的には何を期待すべき制度であるのかを読者とともに探っていく。憲法・権力分立と日本の司法との関係もこの本一冊を通して明らかになってくるのが良い。 憲法・権力分立と日本の司法との関係もこの一冊を通して明らかになってくるのが良い。日本の統治機構への関心が俄に盛り上がってるけど,その土台として資するところ大なのでは。 中古ゲームソフト訴訟や選挙の定数是正訴訟,裁判に勝つためでなく世論を喚起するための政策形成訴訟についても詳しい。 中古ゲームソフトの販売って,今でも16年前の最高裁判決が採用した消尽理論で違法性なしってなってるのか。映画の著作物ではあるけれど,著作権者の専有する頒布権は消尽している,という論法。 立法ですっきり解決させないのはなぜなんだろう。
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最初の一文が、「というのはやや挑発的に過ぎる表現であり」からはじまってショックを受けたが(編集者が悪い)、全体はとても勉強になった。ネットとかを見て、政治と法や裁判について疑問をもってる人間は必読だと思う。奇妙に歴史に詳しいのが楽しい。
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