スポーツ雑誌のメディア史 の商品レビュー
自分にとってのベースボールマガジン社は、ターザン山本が率いる「活字プロレス」の本拠地としての週刊プロレスの発行元でしたが、その「活字プロレス」にも連なる「読むスポーツ」というジャンル生成のクロニクルです。いよいよ準決勝に向けて盛り上がるサッカーW杯ロシア大会ですが地上波だけでなく...
自分にとってのベースボールマガジン社は、ターザン山本が率いる「活字プロレス」の本拠地としての週刊プロレスの発行元でしたが、その「活字プロレス」にも連なる「読むスポーツ」というジャンル生成のクロニクルです。いよいよ準決勝に向けて盛り上がるサッカーW杯ロシア大会ですが地上波だけでなくNHKが動画をバンバン放出してスポーツ視聴そのものが2020年の5Gシフトに向けて走り出している一方、スポーツ雑誌、サッカー雑誌「読むスポーツ」は苦戦という話を出版社の方から聞いたばかり。今、当たり前のようにスポーツ=コンテンツという流れの中で、スポーツ=教養という視点が成立した時代があったこと、そして雑誌=啓蒙活動という時代があったことが丁寧に掘り出されていきます。(ちなみに本書は著者の博士論文の図書化です。)そういう意味では「犠牲出版」というキーワードを掲げ、採算性度外視で雑誌をどんどん増やしていったベースボールマガジン社社長 池田恒雄の価値観が時代の価値観とシンクロしていった時代のスポーツ雑誌物語です。それは、たぶん1億人の池田恒雄がいてそれがみんなリベラルアーツを求めていた時代なのでしょう。いわば「中間層の蹉跌」という意味でスポーツに限らず雑誌文化全体の終焉なのかもしれません。
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