居住用財産に係る税務の徹底解説 の商品レビュー
居住用財産に係る税務実務については様々な特例が講じられているが、時の経済情勢等に合わせて毎年のように改正が行われ、申告しなければ適用できないものが多く、税理士にとってはケアレスミスが生じやすい。本書では居住用財産に着目し取得から保有、譲渡、相続、贈与に至るまで各種特例を中心にその...
居住用財産に係る税務実務については様々な特例が講じられているが、時の経済情勢等に合わせて毎年のように改正が行われ、申告しなければ適用できないものが多く、税理士にとってはケアレスミスが生じやすい。本書では居住用財産に着目し取得から保有、譲渡、相続、贈与に至るまで各種特例を中心にその税制を詳細に解説している。途中脱線的な解説もあるが、居住用財産に係る税制を幅広く抑えられる良書。 P143 (3)未分割遺産から生ずる不動産所得 民法第898条では、「相続人が数人ある時は、相続財産は、その共有に属する」とされていることから、相続財産について遺産分割が確定していない場合には、その相続財産は各共同相続人の共有に属するものとされ、その相続財産から生ずる所得は各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものになります。 最高裁平成17年9月8日判決(TAINS Z999-5054)では、「遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。」との判断が示されています。 したがって、遺産分割協議が整わないため、共同相続人のうちの特定の人がその収益を管理しているような場合であっても、遺産分割が確定するまでは、共同相続人がその法定相続分に応じて申告することになります。 また、遺産分割協議が整い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぽすものではありませんので、分割の確定を理由とする更正の請求又は修正申告を行うことはできません。
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