相続税を考慮した遺言書作成マニュアル の商品レビュー
本書は、相続と相続税の基本的なところをおさえつつ、遺言書の作成に必要な様々な知恵を数多く盛り込んでおり、さらに事例別に幸せな相続となるための遺言書の書き方のポイントをわかりやすく解説している。弁護士と税理士それぞれの視点から解説されており知識の確認ができた。遺言書の文例も豊富で、...
本書は、相続と相続税の基本的なところをおさえつつ、遺言書の作成に必要な様々な知恵を数多く盛り込んでおり、さらに事例別に幸せな相続となるための遺言書の書き方のポイントをわかりやすく解説している。弁護士と税理士それぞれの視点から解説されており知識の確認ができた。遺言書の文例も豊富で、実務にも生かせそうな内容だ。 P59 遺言と遺産分割の関係性 もっとも、遺言が存在する場合でも、すべての相続人と受遺者(遺言によって財産を遺贈された人)が合意をすれば、 遺言とは異なる方法の遺産分割等を行うことができます。しかし、関係者全員では納得ができず、全員が合意できる分割内容がないのであれば、結局は遺言に従った分割を行うことになってしまいます。 相続人の間で意見が一致しないような場合は、遺言があればそれに従えばよく、無理に遺産分割協議を成立させる必要はありません。遺言がない場合は、いくら家庭裁判所で争っても法定相続分を変えることはできません。 法定相続分を変更したり遺贈を行ったりできるのは、生前の被相続人だけなのですから、特に相続人間の紛争が予想できる場合は、遺言の作成を行うべき重要な場面です。 P194 修繕では固定資産税評価額は上昇しない 老朽家屋はあちこちの設備に問題が生じ、例えば、ベランダの手すりの塗替え、冷暖房器具の取替え、屋根や壁の修理など次々修繕を行う必要が出てきます。 家主には修繕義務があり、きちんと行わなければなりませんが、 しっかり修繕し、きちんと家賃をもらうほうが税金面で有利です。なぜなら修繕の結果は資産価値を保持するだけですので、固定資産税評価額は上がらず、固定資産税や相続税の負担増の心配をする必要がないからです。 よって、老朽家屋に必要不可欠な大修繕を生前に被相続人が行うことは相続人にとってはありがたいことです。老朽家屋の大修繕が終わり、今後は修繕費があまりかからない建物を相続しても、修繕がほとんどされておらず相続後に多額の修繕費負担が想定できる老朽家屋を相続しても、原則として固定資産税評価額は同一であり、相続税の負担に差がないにもかかわらず、 相続後の資金負担は大きく変わるからです。 もし、何らかの理由で大修繕が間に合わない老朽家屋を相続させるつもりなら、修繕や立退き等にかかる費用を見積もってその分の金融資産を付け加えて遺言するとよいでしょう。 P278 2 遺産分割が確定したこと等による更正の請求 申告期限までに分割が確定していない場合に、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出したにもかかわらず、3年を経過してもなお分割が確定していない場合においても、その期間が経過するまでの間にその財産が分割されなかったことにつき、その相続等に関し訴えの提起がされたことその他の一定のやむを得ない事情がある場合において、 納税地の税務署長の承認を受けたときには、分割ができることとなった日の翌日から4か月 以内と申告期限から5年を経過する日とのいずれか遅い日までに更正の請求を行うことができます。 3年以内に分割が確定しないと予想されるなら、思い切って家庭裁判所に調停の申立てをするなど、やむを得ない事情があるとして税務署長の承認を受けておくとよいでしょう。 相続争いは税金負担が増えることのみならず、心に大きな傷を受け時間も膨大に浪費することになるので、このような事態が想定される場合には必ず遺言書を作成しておくことをお勧めします。
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内容はまさに相続税を考えてからの遺言書の作成方法です。 そのために難しいところもありますが、勉強になりました。 ただ相続税を一番に考えて遺言書を作成するというのは、異論はありますが。
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