美術の力 表現の原点を辿る の商品レビュー
西洋、日本の美術作品を、その時代や作家、モチーフの話題を交えて紹介している。新聞連載をまとめたもののため、テーマごとに短い文章で書かれて読みやすい入門書的な内容。さらに専門書で深い知識を得たくなる良書だと思う。 筆者が「美術を見るということは、感性だけの営為ではなく、非常に知的な...
西洋、日本の美術作品を、その時代や作家、モチーフの話題を交えて紹介している。新聞連載をまとめたもののため、テーマごとに短い文章で書かれて読みやすい入門書的な内容。さらに専門書で深い知識を得たくなる良書だと思う。 筆者が「美術を見るということは、感性だけの営為ではなく、非常に知的な行為」というように、歴史や寓話、作者、描かれた時代の知識を踏まえて鑑賞することで、作品の深みが増すことがわかる。 「美術というものは古今東西を問わず、どんな天才的作品であっても必ず過去の作品と密接な関係を持っており、時間と空間の制約の中からしか生まれないものであって、芸術家の天分や創意工夫などといったものはごくわずかな要素にすぎないのだ」というように、個々の作品ではなく、時代の流れの中でなぜその作品が生まれたかについても知る機会となる。 筆者は、美術を見る「知識」の重要性を語りたかったのではないか。
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美術に関するコラム集としては良質。 毎回最後の帰納的な結論が飛躍している感はあるものの、それでも著者に寄り添って美術に触れられる感覚は新鮮。
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ところどころで、他にはないわかりやすい説明がある。 特に、日本の絵画が発達しないのは、「自由な発想」でなければ芸術でないというような思想のもとでの教育によるものだというところは、とても納得のいくものだった。 アーティストと呼ばれる人たちでさえ、苦しんで描くことが多いのに、はなから...
ところどころで、他にはないわかりやすい説明がある。 特に、日本の絵画が発達しないのは、「自由な発想」でなければ芸術でないというような思想のもとでの教育によるものだというところは、とても納得のいくものだった。 アーティストと呼ばれる人たちでさえ、苦しんで描くことが多いのに、はなからそこを求められたら、「才能がないのだ」と思っても仕方ないように思う。 多くの美術史としての知識を含みながらも、大変読みやすく面白かった。
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絶望に美術は力を持つのか。 絶望の美術、祈りの美術が取り扱われている、異色の本だ。 読みやすい。心に染みる。
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