ハッパノミクス の商品レビュー
麻薬の生産、流通、消費を経済学、経営学の視点から分析してみよう。という本…だと思います。 経済学が提供するツールの汎用性と有用性にはいつも驚かされますね。 麻薬産業を一般的な産業と同じ眼鏡で見てみると、同じところと違うところが際立って見えますね。 わたし的には紛争解決の手段の違...
麻薬の生産、流通、消費を経済学、経営学の視点から分析してみよう。という本…だと思います。 経済学が提供するツールの汎用性と有用性にはいつも驚かされますね。 麻薬産業を一般的な産業と同じ眼鏡で見てみると、同じところと違うところが際立って見えますね。 わたし的には紛争解決の手段の違いが面白かったです。 雇用契約や独占禁止といった法的な規範が経済活動をうまく回すために機能していることが分かりました。 これらの手段に頼れない麻薬産業ではむき出しの暴力や忠誠といったものに頼らざるを得ません。 一方でオンラインマーケットなどの市場原理が導入されると、供給側のサービスを含めた製品の質が向上するようです(8章)。こっちの面も忘れてはいけません。 まったくの無秩序も幸福からわたし達を遠ざけ、規制しすぎるのも悪い影響が出るということでしょう。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「麻薬カルテルのボスとグローバル企業のCEOが考えることはよく似ている」という発想が面白い。たしかに、サプライチェーン、人材獲得、オフショアリング、ネット販売など、リアル産業と裏産業には共通点らしきものが見える。 その上で、著者は、現在各国が採る麻薬対策、特に供給面、具体的には生産国や経由・密輸国への対策よりも、需要面、つまり消費国における啓蒙や更生プログラムに資金を投じたり、、場合によっては麻薬の合法化など消費面の規制の枠組みを見直した方がずっと効果的であるとする。これも経済学的なアプローチとして興味深い。 麻薬問題に対する正しい政策が何なのか、答えは容易には見出せないが、経済学の視点から解くとどうなるかについて、鮮やかに描いてみせている。
Posted by
- 1