無限の二重化 新装版 の商品レビュー
なんちゅう精緻な資料分析と優れた読解に基づく濃厚な論文か。 メニングハウスの冴えた手腕がこの一冊だけでたっぷり堪能できる。 ロマン主義者たちの絶対的自己反省理論の先駆性を、ベンヤミンの反省概念の徹底的な批判を始まりに置いて、フィヒテに対するノヴァーリスとシュレーゲルの批評理論や芸...
なんちゅう精緻な資料分析と優れた読解に基づく濃厚な論文か。 メニングハウスの冴えた手腕がこの一冊だけでたっぷり堪能できる。 ロマン主義者たちの絶対的自己反省理論の先駆性を、ベンヤミンの反省概念の徹底的な批判を始まりに置いて、フィヒテに対するノヴァーリスとシュレーゲルの批評理論や芸術哲学を織り交ぜながら論を進めていく。 先行的で始源性を担保する絶対的一者を否定し、その帰結として生み出されるのは、二つの項の間で無限累乗化しながら延々と繰り返されるパラレリズムと自己反省による構造的な差異運動があるのみ。 デリダの脱構築論の先取りとしてのロマン主義者の絶対的自己反省理論、そしてニコラスルーマンの社会理論との類似性についても論じられている。 非常に楽しい読書でした。
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