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日本人の朝鮮観はいかにして形成されたか の商品レビュー

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2018/03/21

「叢書 東アジアの近現代史」の第3巻。江戸時代の日朝関係史を中心に16世紀末から20世紀初頭にかけての時期を対象として、日本人の朝鮮観がどのように現れ、推移してきたかを叙述。日本人の朝鮮観を固定的なものとして捉えるのではなく変化する(忘却されて再発見される)ものとして把握し、また...

「叢書 東アジアの近現代史」の第3巻。江戸時代の日朝関係史を中心に16世紀末から20世紀初頭にかけての時期を対象として、日本人の朝鮮観がどのように現れ、推移してきたかを叙述。日本人の朝鮮観を固定的なものとして捉えるのではなく変化する(忘却されて再発見される)ものとして把握し、また地域的な偏差をともなうものとして把握している。 江戸時代から近代初頭にかけての日本と朝鮮の関わり、また、日本人の朝鮮観がどういうものであったかについてこれまで十分に知らなかったので、本書の内容は、とても(知的に)面白かった。特に、17世紀から19世紀にかけて、中国(清)・朝鮮・日本及び琉球との間に漂流民の相互無償送還制度が整備され、民衆にも浸透していた(漂着した朝鮮人漁民も「長崎」という言葉を出せば、帰国できることを認識していた等)ということに関心を持った。薩摩藩士安田義方の朝鮮漂着時の現地の人々との交流も興味深いものだった。 日本と朝鮮との交流、日本人の朝鮮観などについて、現在の視点から固定的に考えることの浅はかさを感じた。また、現在の自分達の物の見方・考えの一面性を認識するのに、歴史を振り返るということが重要であることを感じた。 元禄竹島一件等についても詳しく検討されており、現代の竹島問題を考える上でも参考になる内容だと思う。

Posted byブクログ