はるかな旅の向こうに の商品レビュー

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2022/03/07

シリアの内戦から隣国ヨルダン難民キャンプへと逃れて行ったオマルとその家族。 様々な問題を抱えているうえに、さらに追い打ちをかけるように困難が降り注ぐ。 学校の勉強は苦手だけれど、もともと商才があったオマル。家族の危機に必死で立ち向かう様子に心打たれます。 オマルの語り口のせい...

シリアの内戦から隣国ヨルダン難民キャンプへと逃れて行ったオマルとその家族。 様々な問題を抱えているうえに、さらに追い打ちをかけるように困難が降り注ぐ。 学校の勉強は苦手だけれど、もともと商才があったオマル。家族の危機に必死で立ち向かう様子に心打たれます。 オマルの語り口のせいか、悲惨な状況の中でもどこかユーモアが感じられたり、無事1つの困難を乗り切ったときには爽快感も感じられたり。 今も世界のあちこちで紛争が途切れることはなく、オマルの家族のような人々も数え切れないほどいるのでしょう。 ニュースを見聞きしたり、学校の教科書を読むよりも、この本を1冊読む方がよほど「難民」と呼ばれる人々の気持ちが理解でき、それこそ私たちに必要なことのような気がします。 高校生の息子はあまり興味を示してくれませんでしたが、高学年以上の子どもから大人まで、できるだけ多くの人に手にとって読んでもらいたい本です。

Posted byブクログ

2020/05/07

シリアのボスラに住む12歳の少年オマルは、父の転勤で祖母と叔母のいるダルアーに引っ越したが、転校先の学校で脳性麻痺の兄ムサが反政府活動のグループに加わった。間もなくデモ隊と政府軍との衝突が起き、紛争へと発展していく。オマルの家族は田舎に住む母方の伯母の元へと避難するが、彼の心配を...

シリアのボスラに住む12歳の少年オマルは、父の転勤で祖母と叔母のいるダルアーに引っ越したが、転校先の学校で脳性麻痺の兄ムサが反政府活動のグループに加わった。間もなくデモ隊と政府軍との衝突が起き、紛争へと発展していく。オマルの家族は田舎に住む母方の伯母の元へと避難するが、彼の心配をよそに、その間もムサはグループとの連絡を取り続けるのだった。 内戦により住む場所を失い難民となった家族の過程と少年たちの夢を、オマルの言葉で綴る。 *******ここからはネタバレ******* 命がけの逃避行と、その行き先となった難民キャンプでの希望のない毎日が痛ましいが、結局彼らは妹の病気治療のためにイギリスへの亡命の機会を与えられる。もう少し深く描いて欲しかったと思うのはワガママなのだろうか。 この他にも、少年の目線だからそうなのか、作者が意図して明るく描こうとした結果なのか、当事者間の乏しい記述が少なからずあって、読者の自分の方がこれでいいのかと躊躇する。 シリアの内戦の始まりを描いた児童書はそう多くはないと思われるので、その意味で稀少価値はありますが、前々作の「戦場のオレンジ」と同様、ちょっと甘い気分が漂う作品でもある。 児童書を意識したせいなのか、句点がやたら多く文章もくだけている。

Posted byブクログ