単純な生活 の商品レビュー
「凡事徹底」という言葉を知った。ならば阿部昭のこの作品はそれこそ「凡事」、つまり何の変哲もない事柄を「徹底」して平たく描いた作品ということになる。だからこそこの作品は読みやすく、そして確実に何かを残す。今回の読書で私は自分の身の上を振り返った。自分の身に起きていることも「凡事」に...
「凡事徹底」という言葉を知った。ならば阿部昭のこの作品はそれこそ「凡事」、つまり何の変哲もない事柄を「徹底」して平たく描いた作品ということになる。だからこそこの作品は読みやすく、そして確実に何かを残す。今回の読書で私は自分の身の上を振り返った。自分の身に起きていることも「凡事」に他ならない。仕事も私生活も、何もかも。だが、それを「徹底」して見つめていると言えるだろうか。そう思うと著者がリラックした筆致で書いているこの作品がそれゆえに持ち得た深みについて考えさせられる。とはいえ高尚な文学ではない。だからいい
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大人になって、家族が増えても、ひとりで散歩を楽しんだり、仕事をするまでの気持ちを作ったり、子供の頃とあまり人は変わらないのかもしれないことに、読んでいて安心する。 自分の子供のことで頭がいっぱいになったり、パートナーの老いやその先のことを心配したり、寂しさも認め、大変なことだった...
大人になって、家族が増えても、ひとりで散歩を楽しんだり、仕事をするまでの気持ちを作ったり、子供の頃とあまり人は変わらないのかもしれないことに、読んでいて安心する。 自分の子供のことで頭がいっぱいになったり、パートナーの老いやその先のことを心配したり、寂しさも認め、大変なことだったと綴る言葉の素直さがとても良いと思った。 大変な時は、大変だと言って良いんだと思えた。 この本の発行日付から、およそ5年後で作者のプロフィール欄が結ばれていて、読み終えてからその年月を想像してみたりした。
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