中国 新たな経済大革命 の商品レビュー
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★2018年3月24日読了『中国 新たな経済革命 「改革」の終わり、「成長」への転換』肖敏捷著 評価A SMBC日興證券中国担当シニアアナリストである肖敏捷氏の最新の中国ウオッチャーレポート。 さすがに中国出身で日本在住のアナリスト、非常に的確に最新の情報を分析して分かりやすく中国の方向性を解説している。 1978年の共産党第11期中央委員会第3回全体会議での鄧小平氏の「思想を解放せよ」から始まった改革開放への舵切り。 江沢民、胡錦濤政権を経て、習近平国家主席は腐敗汚職摘発を見事に政敵排除に生かし切り、且つ大衆の支持を取り付けて権力の集中を完了した。 支配体制を盤石のものとした習政権は、医療、住宅、教育に対する国民の不満や所得分配、都市部と農村部、就職雇用のチャンスなど不公平感を解消。中国の4分の一を占めると言われている中間層の幸福感の拡大に務め、農民や工場労働者などの下流層に対する政策的保護すなわち社会保障制度の充実に注力しなければ社会的安定は次の5年間で望めない。 最先端の北京、上海、深圳、広州だけでなく、準一級、二級の20前後の都市インフラの整備をすすめ、9億人の農村戸籍者をいかにスムーズに都市戸籍者5億人とレベルを合わせるのか?それによって生活水準の向上と生活環境の改善を進めるかが今後の習近平政権の最大テーマとなる。 第19回大会では、以下の三段論が述べられた。 ①2020年までに全面的な小康社会の実現 ②2035年までに社会主義現代化の基本的な実現 ③2049年までに社会主義現代強国の実現 より質の高くより効率的、より公平的、より実現可能的であること。 中間層拡大のための所得分配とイノベーション重視の社会主義強国を目指していくことが語られた。 習近平氏が独占的支配者となっても、人治国家に陥らず、法治国家への転換をたゆまず目指していけるか? 文化大革命と同じ罠に陥らず前へ進めるかが分かれ目となる。 そして、日本は巨大となった隣国の量から質への転換に合わせて対応していけるかが、国家としても企業としても重要になる。
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