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ゲイカップルのワークライフバランス の商品レビュー

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2024/09/04

ゲイカップルの「ワークライフバランス」事情。 「LGBTツーリズム」のターゲットになる"パワーカップル"は、高収入の男性同士のカップルが想定されていますが、男女の賃金格差がある社会では、女性同士のカップルは低収入世帯に陥りやすいです。また、差別に怯えるマイノ...

ゲイカップルの「ワークライフバランス」事情。 「LGBTツーリズム」のターゲットになる"パワーカップル"は、高収入の男性同士のカップルが想定されていますが、男女の賃金格差がある社会では、女性同士のカップルは低収入世帯に陥りやすいです。また、差別に怯えるマイノリティは心身の安定を崩しやすいため、安定した収入を得ること自体、難しかったりします。さて、日本の現状はどうでしょう。 芥川賞候補作・安堂ホセ『ジャクソンひとり』でも、その一端が描かれましたが、日本の同性愛者は「どうせ結婚できないし」「どうせ"普通のカップル"のようには暮らせないし」と、その場限りの関係性を楽しむひとが多かったようです。(レズビアンの語りにも、そのような体験談が多く登場します) たとえカップルの関係でも、結婚して、同居して、家計を同一にして……という、「一般的な家庭像」とは異なる在り方をするひとたちが多いようです。「そんな"普通の生活"が自分たちに許されるなんて思っていなかったし、今後の将来設計なんてない」というひとも多いことでしょう。 同性パートナーシップ制度の導入が2015年。 法的保障のある同性婚の整備はまだ。 同性愛者のなかには、同性婚の実現を求めるひともいれば、求めないひともいます。いろんなひとがいます。ただし、「制度的には結婚できるけど、結婚できない/しない」ことと「制度的に結婚できないから、結婚できない/しない」ことには大きな隔たりがあります。 「ヘテロ・ノーマティビティ(異性愛規範)」について知ることで、「一般的な家庭」を築けなくて悩んでいる異性愛者にとっても助けになるかも。

Posted byブクログ

2019/02/01

著者の博士論文がもととなった本。このところ、LGBTを含むセクシュアル・マイノリティについての社会的権利が認められつつありますが、この本はその中のG、男性同士のゲイカップルが対象。日本では現代のゲイカップルを対象とした論文は、まだ少ないと思われ、先駆的な試みだと思われます。 こ...

著者の博士論文がもととなった本。このところ、LGBTを含むセクシュアル・マイノリティについての社会的権利が認められつつありますが、この本はその中のG、男性同士のゲイカップルが対象。日本では現代のゲイカップルを対象とした論文は、まだ少ないと思われ、先駆的な試みだと思われます。 この調査対象は2007年6月から2010年10月、都市部で同居している20代から40代のゲイカップル10組に取ったインタビューの内容がメイン。 ここで気になったのは、著者が「分析に最低限必要なケース数として10組」と記している通り、少ないデータでまとめ上げたものとなっていますが、質的研究手法を取るには、もう少しインタビュー対象者数が多い方が良かったのではないかという点です。 またインタビューに応じたカップルは、年代が似通っており、調査にする以上はもっと幅広い年代のデータを集めるべきではないかと思います。 「子育てや介護をしているゲイカップルは今回存在しなかった(年代的にも)」という一文がありましたが、そういった対象を探すべきだったのではないかと思うのですが。 調査の限界が見えましたが、こういった形で、さらにデータを増やしていけば、もっと正確な結果が見えることと思います。 センシティブな内容だけに、普通の調査よりもはるかに困難さが伴っただろうこの試み。なかなか生の声を引き出すのは難しかったのではないかと思います。 今後、さらに対象を広げて、今回のデータに存在しなかったレズビアンやトランスジェンダーの調査も進めて行ってもらいたいものです。

Posted byブクログ