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2024/07/14

文庫本にして100ページ足らずの作品なので、再読にあたっては、まず原文を読み、訳しながら進みました。上洛の記、都での日々、晩年とざっくり3場面になりますが、それぞれの印象が大きく異なり、統一感に欠けます。でも、通してみると物語に憧れ、読み耽り、神仏の諭しも聞き流していると、晩年は...

文庫本にして100ページ足らずの作品なので、再読にあたっては、まず原文を読み、訳しながら進みました。上洛の記、都での日々、晩年とざっくり3場面になりますが、それぞれの印象が大きく異なり、統一感に欠けます。でも、通してみると物語に憧れ、読み耽り、神仏の諭しも聞き流していると、晩年は孤独な身寄りになりましたという話になり、狂言綺語の戒めになっています。でも、実際、作者は晩年まで筆を置いていないので、その真意はどこにあるのか?十代の思い出は現代に通じるリリックさで、切なく美しいし、晩年の孤絶感は筆が冴え、作者をヒロインに押し上げます。巧みな文章運びで、伊勢物語や源氏物語のレトリックを意識した野心作になっています。

Posted byブクログ