ブータンの瘋狂聖 ドゥクパ・クンレー伝 の商品レビュー
序文がブータン皇太后というだけでも畏れ多いが、実にかっこいい。福音書が大好きな私にとって、新たなスーパーヒーローである。旧約の教えに対するイエスと、既存の仏教(仏教界)に対するドゥクパ・クンレーの立ち位置が似ている様にも感じた。 「このお茶にはお茶の匂いもしないし、バターの匂い...
序文がブータン皇太后というだけでも畏れ多いが、実にかっこいい。福音書が大好きな私にとって、新たなスーパーヒーローである。旧約の教えに対するイエスと、既存の仏教(仏教界)に対するドゥクパ・クンレーの立ち位置が似ている様にも感じた。 「このお茶にはお茶の匂いもしないし、バターの匂いもどこにもない。こんなお茶を飲む者などどこにいようか。壁に染み込むがいい」このセリフのイエス感。わかりますか?イチヂクを枯らしそうな勢いではないですか。 また、水を汲む、というのは福音書では重要なエピソードだが、ここでも似た場面がある。しかし井戸からではなく「すぐに膣から水が出るので十分だ。」イエスが与える水を飲むと渇かない、というのと自分自身から水が出る、そこは違いを感じる。 そのスイッチを入れるのがドゥクパ・クンレーの男根、という事になる。 内容はD.H.ロレンスが到達した地点にかなり近いと受け取ったが、もっと鷹揚な温かみと丸みと猥雑な生命力がある。 女性は成仏しないのが仏教だが、ここでは仏になるのは女性ばかりである事や、釈迦の男根が体内に仕舞われている事と比べてみよう。 コンポ小町スムチョクマの可憐さが胸に沁みた。 ここにある宗教的メッセージを充分に読み取る力は無論、私には無いのだが、文学的に比喩を受け取る愉しさ、女性と交わされる歌の美しさ。ラスト「吉祥」の鷹揚で寛容なメッセージ。 それを味わうだけでも非常に豊かな体験なのだと思えた。 (しかし、やはりある程度の解説は欲しい所だ。)
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原書名:'GRO BA'I MGON PO CHOS RJE KUN DGA' LEGS PA'I RNAM THAR RGYA MTSHO'I SNYING PO MTHONG BA DON LDAN 1章 家系と瘋狂 2章 ...
原書名:'GRO BA'I MGON PO CHOS RJE KUN DGA' LEGS PA'I RNAM THAR RGYA MTSHO'I SNYING PO MTHONG BA DON LDAN 1章 家系と瘋狂 2章 中央ブータン訪問 3章 西ブータンでの事蹟(1) 4章 西ブータンでの事蹟(2) 5章 西ブータンでの事蹟(3) 編者:ゲンドゥン・リンチェン(Brag-phug Dge-bśes Dge-ʼdun-rin-chen, 1926-1997) 訳者:今枝由郎(1947-、愛知県、チベット学)
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新聞の読書のコーナーで以前に目に止まった。 図書館で借りた。 とんでもない仏典があるものだ。 お国柄なんだろうか。 うしろのほうで、日本の一休宗純と、ちょっと比較してあった。 まだまだ知らないことや、知らない人物の、多いことよ。
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