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九年前の祈り の商品レビュー

3.4

16件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    9

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

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2022/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読みづらかった~。文章にまとまりがなくて読みづらい。キャラクターのバックグラウンドや綿密に描くところは高村薫っぽく、しかし高村女史ほどの文才があるわけじゃないからただただ「読まされている」感じがする。ストーリーにテーマがあるのも、そこを支柱にして進めているのは(真面目に話を練っているんだろうなあと)伝わるんだけど、肝心の言葉が散らかっていて全然入りこめなかった。

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2022/06/18

芥川賞受賞作『九年前の祈り』を含む4編を収録した1冊。 収録作品はどれも大分を舞台にしており、登場人物がほんの僅かずつ繋がっていたりします。田舎の、閉鎖的な息苦しさが特徴的です。 どこがどう、とは具体的に言えないのですが、何となく言葉選びが印象的でした。 きっと、人によっては読...

芥川賞受賞作『九年前の祈り』を含む4編を収録した1冊。 収録作品はどれも大分を舞台にしており、登場人物がほんの僅かずつ繋がっていたりします。田舎の、閉鎖的な息苦しさが特徴的です。 どこがどう、とは具体的に言えないのですが、何となく言葉選びが印象的でした。 きっと、人によっては読んでいてすごく息苦しさを覚えるのではないかな、と思います。

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2021/11/25

NHK日曜美術館で朴訥としゃべる小野正嗣さんの芥川賞受賞作「9年前の祈り」とその続編。妻が面白かったと読み終えた後に手に取った小説。大分県の南部、過疎の集落に息づく人々と異人まれびととの交流を描く。そこに小野さんの兄おそらく軽度の知的障害がある方を「タイコー」として織り込んでいく...

NHK日曜美術館で朴訥としゃべる小野正嗣さんの芥川賞受賞作「9年前の祈り」とその続編。妻が面白かったと読み終えた後に手に取った小説。大分県の南部、過疎の集落に息づく人々と異人まれびととの交流を描く。そこに小野さんの兄おそらく軽度の知的障害がある方を「タイコー」として織り込んでいく。人が住まなくなっていく地域を今現在として描いていくローカルでありながら、地域を超えた私の生きる今につながる空間として実感させる作品であった。今後も小野さんの作品を読み続けていこうと思った。

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2021/10/12

基本的に、芥川賞受賞というだけで読むことはもうしないんで、本作も、どこか別のところで取り上げられているのを見かけたのかも。で、結構久しぶりに同賞受賞作を読んだ気がするけど、やっぱり合わないす。内容はいかにも取りそう、って感じがするけど、正直、どこが面白いのか理解できず。どれだけ文...

基本的に、芥川賞受賞というだけで読むことはもうしないんで、本作も、どこか別のところで取り上げられているのを見かけたのかも。で、結構久しぶりに同賞受賞作を読んだ気がするけど、やっぱり合わないす。内容はいかにも取りそう、って感じがするけど、正直、どこが面白いのか理解できず。どれだけ文学的であろうが、物語の内容自体が面白くない以上、魅力を感じろという方が難しい。短編集なんだけど、上記の訳で、表題作以外まではちょっと読む気が起こらず。なんで積読。でもきっと、この先改めて手に取ることもあるまい。

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2021/09/01

読書開始日:2021年8月29日 読書終了日:2021年9月1日 所感 内容や構成は、視点が頻繁に変わるためかなり難解ではあったが、 怒哀表現が完璧だと感じた。 自分が感じたことのある心情が、包み隠さず詳細に描かれていた。 本書は題別で話が進行していくと思っていたが、全てがつなが...

読書開始日:2021年8月29日 読書終了日:2021年9月1日 所感 内容や構成は、視点が頻繁に変わるためかなり難解ではあったが、 怒哀表現が完璧だと感じた。 自分が感じたことのある心情が、包み隠さず詳細に描かれていた。 本書は題別で話が進行していくと思っていたが、全てがつながっていくという自分好みの構成。 ただやはり純文学ということもあり複雑で、しっかりとした繋がりは見せてくれない。 ただ人間関係なんてそんなもので、実はつながっていても知らない、気づかない、思い出さないなんてざらだ。 リアルに即していると思う。 ここからは個人的な解釈だが、 さなえは、過去のみっちゃん姉に救いを求めた。 さなえの現状を乗り越えた先が、みっちゃん姉だと思いたかった。 さなえはいまにも負けそうだった。 「とにかくそんなものから解放されて自由になりたかったのだ」がかなり痛烈。 本物の希敏を、理解が及ぶ希敏を見たいあまり、無理に引っ張り出す際にできるあざ。 経験したことはないが、共感せずにはいられない。 自分を通して生まれ落ちた天使が、到底理解の及ばないものとしたら、誰でもその心境になるはず。 そして、みっちゃん姉もやはりさなえと似たような時を過ごしたのだろう。 カナダへ訪れた際、教会での「九年前の祈り」はまさしく、伽=タイコーに対しての祈りだった。 人一倍祈っていたのはそのためだ。 その祈りが通じて、伽=タイコーは、立派に成長をした。 「生きていくうちに摩耗し消えていくはずの驚き」に付きまとわれながらも、人に尽くした。 そして千代子を救った。 悪の花の題、千代子の題で、かなり熱中して読み進めた。 真鶴に似た鳥肌が立った。 さなえの祈りも届けばいいと切に願う。 九年前の祈り あんパンの皮だけ食べるような会話だった 額には玉の汗 苛立ちと怒りがざらつく熱風となってさなえの顔を焼いた 怒りの表現がうまい 発酵、腐敗 みっちゃんねえの顔に明るい色の花が、嬉しそうな笑みがパッと広がった 美しい天使の中に埋もれた本物の息子 無垢の世界をそれとして見つめることのできるさなえだけが、皮肉にも無垢から限りなく遠かった とにかくそんなものから解放されて自由になりたかったのだ どこの世界に明るいだけんの人がおるんか 意地の悪い優越感 ウミガメの夜 お見舞い どうせ無駄なことをするのだから 悪の花 目の端に白く濁った汁が滲んだ 生きていくうちに摩耗し消えていくはずの驚きがいまだにタイコーとともにあった いや、ちがう。千代子の方が、トミという名の最初の妻と同じ道を辿ったのだ 忙しなさと熱意を失っていくにつれて涸れていったあの水

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2021/08/13

文体は美しく、情景が湧き上がる。 短編4つの話の重なり方がとても良い。 読後に子供の頃の記憶を辿ったような感覚になる。

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2021/08/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

――  縛られていることで、安心していられることもあるんだろうか。  仮想敵、とは少し違うか?  どうしようもない旧態、立ち向かえない偏見、そういったものが目の前に現れたとき、それに太刀打ちできないことで自分が普通だと落ち着いて、そうして普通の側でいることを足場に立ち向かうひとたちを奇異な目で見たり、ダサいと笑ったり。そんな様子をときどき見掛けるんだけれど、それに対してうわぁ、と思ってそっ閉じしている自分はどんなふうに見えているんでしょうか。  にしても全体的に類型的で、なんか全部どこかで読んだことあるような感じがしてあまり楽しめませんでした。あとなんつーか心底嫌い、ってひとが居ちゃうと、特に母子をメインにした物語でその母親がとなると、ちょっと耐え難い。これは自分の母親に重ねるところもあるからだと思います。そのおかんが送ってきてるんやけどなこれ! どっちだ、と戦々恐々であるよ…  プラスそういう古臭さ、の印象強化に方言が使われているところもマイナス。勿論いい使い方もされてるんだけれど、それでもマイナス。  いちばん躓いたのは、つらつらと流れる思考のつながりとその飛躍のペースやテンポが合わないところ。これはもう完全に好みでしょうなぁ。  ☆2.4でGGですわ。

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2021/04/01

第152回芥川賞受賞作。 著者が生まれ育った大分県の過疎地や周囲の人々を底流に、着想されたものと推察する。 過疎地に生まれた主人公(さなえ)が、東京に出て異性との不幸な付き合いを重ねた先に、カナダ人と巡り合い、特異な感受性をもつ子供(希敏:けびん)を授かるが、突然失踪されて破局、...

第152回芥川賞受賞作。 著者が生まれ育った大分県の過疎地や周囲の人々を底流に、着想されたものと推察する。 過疎地に生まれた主人公(さなえ)が、東京に出て異性との不幸な付き合いを重ねた先に、カナダ人と巡り合い、特異な感受性をもつ子供(希敏:けびん)を授かるが、突然失踪されて破局、シングルマザーとなり故郷に舞い戻ってくる。 そこで、昔なじみのおばさんの息子の入院を耳にする。9年前にカナダ人の案内で、おばさん達とカナダへ旅行したときの記憶が蘇り、現在の希敏を抱えた状況と、おばさんの不憫な息子に対する想いが交錯しながら進行していくが、互いの終着点がフェードアウトしていく。読者に残る余韻で評価が分かれるだろう。

Posted byブクログ

2020/06/05

大分県、佐伯市を中心にして主人公の心の内の葛藤を表した作品集。それぞれの短編は関係しているようだが、名前が違ったりしていて独立した短編と考えると霊的な次元の違いがあるのか?筆者の兄が直前に亡くなったと言うことなので、それが影響した作品なんだろう。

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2019/12/14

日曜美術館でお馴染みの小野正嗣さん。 小説のほうは、今回が初めて。 表題作以下、「ウミガメの夜」「お見舞い」「悪の華」と、短編が四本。 どれも大分県の海辺の田舎町、佐伯市が舞台となっている。 最初は偶然舞台が同じなのかと思っていたが、緩やかにつながった四作ということらしい。 ...

日曜美術館でお馴染みの小野正嗣さん。 小説のほうは、今回が初めて。 表題作以下、「ウミガメの夜」「お見舞い」「悪の華」と、短編が四本。 どれも大分県の海辺の田舎町、佐伯市が舞台となっている。 最初は偶然舞台が同じなのかと思っていたが、緩やかにつながった四作ということらしい。 表題作は、カナダ人男性との間に男の子を設けるも、捨てられて故郷に戻ってきたさなえという女性を主人公とする。 彼女の四歳の息子は、美しい顔立ちをしているが、おそらくコミュニケーションの力に障害がある。 息子に手を焼きながら、一方で無神経な母親の言動にも傷つけられる。 過去にカナダでの研修で一緒になり、やはり育てにくい息子を持っていた「みっちゃん姉」の存在がさなえを導いていく。 そのみっちゃん姉は、今、息子が脳腫瘍に罹り、大学病院で看病をしている。 こう書いていくと、暗くて深刻な印象だろうが、不思議なのはイメージが美しく、むしろキラキラ光があふれている感じがするのだ。 不思議な読書体験。 作者の自作語りは、普段あまり読まないようにしている。 でも、今回は読んでよかったと思う。 さなえの息子、希敏は、泣き始めると手が付けられず、そのさまは何度も「引きちぎられたミミズ」と表現される。 これは、小野さんによるとベケットからきたもので、そこに弱いものというだけではなく、ちぎられてもまた頭やしっぽが生えてくる、再生のイメージをもつものだという。 そう読んで、キラキラ感にも合点がいった。 連作をつなぎとめている存在はみっちゃん姉こと渡辺ミツと、その息子のタイコー。 読み終わると、この人たちが、どこか聖母子に見えてくる。

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