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保守の真髄 の商品レビュー

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12件のお客様レビュー

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2018/02/27

日本保守思想界の重鎮。最期の著作となった。Tokyo MX系列の言論番組は大学時代に観ていた唯一少ない番組だ。 「バランスとは、矛盾せる両方向への姿勢をそれぞれ最高度に保ちつつ、その間に生じる緊張を巧みに乗り越えていくということにほかならない。ここで「巧み」というのは両者を総合...

日本保守思想界の重鎮。最期の著作となった。Tokyo MX系列の言論番組は大学時代に観ていた唯一少ない番組だ。 「バランスとは、矛盾せる両方向への姿勢をそれぞれ最高度に保ちつつ、その間に生じる緊張を巧みに乗り越えていくということにほかならない。ここで「巧み」というのは両者を総合する言葉と行為を新たに作り出していくという意味で、過去への創造力と未来への創造力とを結びつけようとする努力のことを指す。」 世の中白か黒かではなく、常に柔軟に判断して、グレーを作り出す或いは認める姿勢が非常に大事であるというのは非常に共感できる考えだ。 先日自殺したという話を聞き、本書にて彼の「自裁死」への思想を知った。何を思って自殺に至ったのかがはっきり分かる文章で、感心すると同時に「ここまでブレないというのはある意味危険な人だな。」という思いを持たずにはいられなかった。

Posted byブクログ

2018/02/11

私自身、『大衆への反逆』を読んだ学生時代以来、『ソシオ・エコノミクス』など西部邁さんの著作に親しんできた。 テレビによく登場するようになってからは少し遠ざかったが、明晰で力強い語り口ははっきりと印象に残っている。 社会科学、なかでも経済学を通して社会を見つめてきたわけだが、なん...

私自身、『大衆への反逆』を読んだ学生時代以来、『ソシオ・エコノミクス』など西部邁さんの著作に親しんできた。 テレビによく登場するようになってからは少し遠ざかったが、明晰で力強い語り口ははっきりと印象に残っている。 社会科学、なかでも経済学を通して社会を見つめてきたわけだが、なんとでも立論できる社会科学の怪しげで「チャチな」モデル設計には一貫して否定的な態度をとってきた。 また、テクノロジーの進展がそもそも人間に何をもたらすのか、それはロボット化でありサイボーグ化であることへの警鐘も鳴らし続けてきた。 つまりは怪しげな言説がまかり通り、そして人間が衰退していく現代大衆社会の行きつく先を悲観をもってとらえていた。世間にさまざまな「神話」が流布される中、西部さんの言葉を振り返り、現実を見て、神話を疑ってみることが大切ではないか。 また、自身は去る1月21日に多摩川で入水自殺され、この著作が最後の語りとなった。 今般の自裁死に関しては何も言うことがないが、体調なども思わしくないなかで「自分で決める」という態度を貫いた結果かと思う。

Posted byブクログ