アルゴリズム思考術 の商品レビュー
文系オンリーの人生を歩んできたので、この際理系やコンピュータ系の思考形式を掴もうと思い手に取ったが、非常に読みやすいうえ、現実的な例を引いてよく書かれてる。 非合理的な選択も、ある種の負荷から避けるための良き選択となる。認知症が記憶や思い出し能力そのものの低下だけに限らず、実は長...
文系オンリーの人生を歩んできたので、この際理系やコンピュータ系の思考形式を掴もうと思い手に取ったが、非常に読みやすいうえ、現実的な例を引いてよく書かれてる。 非合理的な選択も、ある種の負荷から避けるための良き選択となる。認知症が記憶や思い出し能力そのものの低下だけに限らず、実は長い人生が積んできたその膨大なデータ容量そのものの弊害ではないのか、という説も非常に興味深い。 生活や仕事に活かせる思考回路がぎゅうぎゅうに詰まってる。
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アルゴリズムとは問題を解くための単純な手順のことを言うコンピューターサイエンスの分野における用語である。 一般に、コンピューターはある問題に際し、あらゆるケースを力技で片っ端から計算して問題を解くというイメージを持っているが、実はそうではなく時間と精度のトレードオフによって近似...
アルゴリズムとは問題を解くための単純な手順のことを言うコンピューターサイエンスの分野における用語である。 一般に、コンピューターはある問題に際し、あらゆるケースを力技で片っ端から計算して問題を解くというイメージを持っているが、実はそうではなく時間と精度のトレードオフによって近似された解を求めている。 その近似された解を得るための一連の手順がアルゴリズムであり、アルゴリズムは様々な学問分野で研究者によって考案されて、コンピューターに組み込まれてきた。 本書は、これらコンピューター内部で動いているこのアルゴリズムと実際に誰もが直面する日常的な意思決定(誰と結婚するか(⇒最適停止、秘書問題)、どの飲食店に決めるか(⇒探索と活用)、ソート(⇒靴下問題)、ゆくゆくは使うかもしれないものと保存しておくべきか(⇒最長未使用時間法、キャッシュ)、いかに上手に時間管理をするか(⇒スケジューリング、先行制約)、など)に応用することによって「われわればどう生きるべきか」という人間の本質的な問いに対するよりよい合理的な解決策をもたらせてくれる、と主張している。 ----------------------------------- コンピューターサイエンスのバックボーンのない私にとっては本書を読むのはとても時間がかかりました。レビューを書いている今でさえ、完全に理解しているとはいいがたい状況だと思います。しかしながら、コンピューターが計算量を減らすため、さまざまなアルゴリズムを用いながら計算能力という限られたリソースを最適活用しているという挙動は、まさに限られた人生における意思決定やタイムマネジメントにおける人間の課題解決に向けた行動と同じだと思う。 当初、「思考術」というタイトルから、テクニックが紹介されていると思っていたが、そうではなく、コンピューターでつかわれているアルゴリズムを応用することができれば、我々の日常生活、仕事、経営マネージメントはより合理的に意思決定(=よりよく生きていくことが)できると感じた。その点で本書がアルゴリズムを問題解決の最強ツールと名付けているのは適切な和訳だと思う。 訳者あとがきにある著者のインタビュー https://www.youtube.com/watch?v=gAaLZt0-uAs 将棋の棋士である糸谷哲郎八段が局面の読みについて語っていたが、棋士は全局面をくまなく読んでいるわけではなく「思考のショートカットをし」て局面を読んでいると表現していたことを思い出した。「思考の縮小化」という表現も使っており、本書の「コンピュータは片っ端から計算するのではなく、アルゴリズムにより計算量を減らす」という表現とまさに同じことを言っているように感じた。 https://www.youtube.com/watch?v=XEBrlPaRlNg&list=WL&index=26 また、将棋について、森内九段と予防医学者の石川さんによる対談で、石川さんが、上手くなる方法(=技術を習得する)と強くなる方法(=技術を発揮する)について語っている部分はまさに「見てから跳べ」に近い概念と感じた。「人生時間が限られていて、うまくなるための取り組みと、使いこなして強くなるための取り組みのバランスをどうするか(16:32)」 https://www.youtube.com/watch?v=EGL10qfclns 20220106 日常生活で取り入れようと思った考え方 最長未使用時間法・キャッシュ:またみるかもしれない、という書類はいったん暫定ボックスに古いものから左端に入れて、一定期間過ぎたら見なかったと捨てていく
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思っていたより内容は濃かった。 くじをn回試行して当たりがw回の場合、期待される当たりの割合は、(w+1)/(n+2)となる(ラプラスの法則)。 べき分布の場合、これまでの実績と今後の期待値は比例する。 正規分布の場合、これまでの実績に従って今後の期待値は減少する。 これまで...
思っていたより内容は濃かった。 くじをn回試行して当たりがw回の場合、期待される当たりの割合は、(w+1)/(n+2)となる(ラプラスの法則)。 べき分布の場合、これまでの実績と今後の期待値は比例する。 正規分布の場合、これまでの実績に従って今後の期待値は減少する。 これまでの実績にかかわらず、今後の期待値が一定である分布をアーラン分布という。分布は急速に立ち上がり、山を描いた後、ゆるやかに下降する。電話の通話と通話の間の空き時間、自動車や歩行者の通行、放射線崩壊、議員の在職期間など。 事実がすべてわかっている場合は、重要な事柄をじかに評価できるので、時間をかけてじっくり考えるべき。不確実性が高く、データが限られている場合には、単純性を重視して早期に打ち切るべき。自分独自の基準で仕事を完璧に仕上げようと時間を費やすのは無駄。 交通や通信のネットワークにおいて、無秩序状態で利己的な経路選択をとった場合、完全なトップダウン型の調整と比べても33%しか劣らない。
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計算機科学で培われた「戦略」は、実生活の中に活用できる力を持っている。そりゃそうだ、計算機自体、何かに活用するべく作られているんだから。 読み物として面白いし、考え方のベースとしての活用もふんわりと感じる。ハッと、までは行かなくても、ナルホド、と思わせられる部分は多々ある。(...
計算機科学で培われた「戦略」は、実生活の中に活用できる力を持っている。そりゃそうだ、計算機自体、何かに活用するべく作られているんだから。 読み物として面白いし、考え方のベースとしての活用もふんわりと感じる。ハッと、までは行かなくても、ナルホド、と思わせられる部分は多々ある。(緩和法とか、ゲームの理論とか。)ただ、表紙に書いてある「問題解決の最強ツール」を得るほんではない。
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2019/1/19:目新しさはない。 追記:5/25再読。この本で紹介された手法がどれだけ実際の仕事に応用できるかを前提に読み直した。巷には実践にすぐ活用できる本も多いが、この本はそれと違いこれを足がかりにして、自分でやり方を考えることが必要な本である。そのため読者も次を考えない...
2019/1/19:目新しさはない。 追記:5/25再読。この本で紹介された手法がどれだけ実際の仕事に応用できるかを前提に読み直した。巷には実践にすぐ活用できる本も多いが、この本はそれと違いこれを足がかりにして、自分でやり方を考えることが必要な本である。そのため読者も次を考えないと意味がない。数学的な理解を求められるがわかるところだけ自分で応用しても価値が有る。評価を4にあげた。
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手放した選択肢は戻って来ないし,現実には刻々と経過する時間の中で最適な行動を取っても,高い確率で失敗する.p55 最適化と言っても,現実には程々で良い場合が多い
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
平凡なタイトルからは想像もつかない深い内容。 意思決定について数学、計算機科学の立場からグダグダと書き連ねておりこの冗長さやこだわりが素晴らしい。 ・秘書採用の面接などは最適停止問題と呼ばれるタイプの問題で、全面接者の37%(1/e)までは結論を出さずにただ見ておく。それ以降はこれまで見たどの候補者よりもよい候補者にあったらすぐに採用するのがよい。日常生活でこのような場面は多く、駐車場での空きスペース探しや株の売買、結婚相手の選び方など、全体の試行回数や期間が決まっている場合に広く応用できる。 応募者三名の場合は一名(33.3%)を面接したあと、二人目が一人目よりも良ければその人を、そうでなければ3人目を採用する。この場合、最良の候補者を採用できる可能性は50%。1000名の場合は369名を面接した後で、これまでで一番よい人を採用する。この場合、最良の応募者を採用できる可能性は36.81%になる。最良の候補者を選べない可能性が73%というのは高く見えるかもしれないが、全くランダムに選ぶ場合、1000人であれば成功の確率は0.1%にしかならない。このアルゴリズムであれば候補者がいくら多くなっても37%は成功する ・チャールズ・ダーウィンは、いとこのエマ・ウェッジウッドにプロポーズすべきか、心を決めようとしていた。そこで鉛筆と紙を取り出して、結婚によって生じえるあらゆる結果を比較検討した。結婚のメリットとして、子ども、伴侶、「音楽と女性のおしゃべりのもたらす心地よさ」を書き込んだ。デメリットとしては、「多大な時間の喪失」、好きなところへ出かける自由の欠如、親戚を訪ねる負担、子育てに伴う支出と不安、「妻がロンドンを好まないかもしれない」という懸念、書籍代が減ることを記した。メリットの欄とデメリットの欄を比較した結果、かろうじて勝負がつき、ダーウィンは紙の下部に「結婚──結婚──結婚。Q.E.D.」と走り書きした。そして数学で証明が終わったことを表す「Quoderatdemonstrandum」をさらに自分の言葉で言い直した。「結婚する必要あり。証明終わり」 ・カジノにスロットマシンが2台ある場合、片方でプレイしてみて勝てばそのまま、負けたらもう一台に代わる、ということを繰り返すのがよい。これは1952年Robbinsによって数学的に証明された。もっと一般的な場合、選択肢と機会が全部手いくつあるかが分かっている場合の解はランド研究所のリチャード・ベルマンによって求められたが、現実世界では実際に何回プレイできるかなど正確にわからないことがほとんど。 70年台にギッティンズ指数というものが発明され、これによると未知であることに価値がある。つまり、9勝9敗の機械よりは1勝1敗の機械を選ぶべき。シーズン初めに実績あるベテランよりも、実力が拮抗していると思われるルーキーを起用する価値が高い。 ・バブルソートではnの2乗時間かかるが、マージソートではnLog(n)時間ですむ ・スループットと応答性はトレードオフの関係にある。複数のタスクを短時間で切り替える場合、応答性はよくなるが、タスクの切り替えにリソースを消費してしまうのでスループットは下がる。一時間集中してメールの処理をするなどすればスループットは上がるが、他の仕事が入ってきても応答できなくなる。これはOSのタスク管理ではよく問題になる。 伝説的なプログラマであるドナルド・クヌースはコンテキストスイッチを極力少なくしている。TeXソフトウェアの保守としては、2014年にそれまでの6年間に報告されたバグを全て修正し、「2021年のチューンアップをお楽しみに!」という報告書を残した。郵便物は三ヶ月に一度、FAXは半年に一度しかチェックしない。 ・くじについて事前の情報が全くない場合、くじ全体の辺りの割合は (当りの枚数+1)/(試行回数+2) となる。一回引いたクジが当たってた場合、2/3が当たるくじだと期待すべき。3枚全てが当りだったら4/5。10回引いて5回あたっていたら6/12となる ■スモールデータとは、変装したビッグデータなのだ。ほんの数回(またはたった一回)の観察からすぐれた予想がしばしば可能なのは、人が豊かな事前確率をもっているからだ
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タイトルから想像した内容と違った。 しかし、最短で最良の意思決定をするための、学術的なアプローチで体系化されたプロセスを説明していてそれはそれで面白かった。 特に秘書問題と言う意思決定プロセスは初めて聞いたが、どこで飛ぶ(決定する)かと言う事を考えると非常に有効だと思った。
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この本の三章に書いてある「ソート」の内容を早速実行してみた。 部屋の中の本棚や洋服ダンスをソートしてみた。 なるほど、確かに前より見やすいし、取りやすい。 全て読み終えたので、日常生活に活かせそうなものを実行していこうと思う。
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