人形遊びの心理臨床 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
お人形さんが大好きな私はターシャ・テューダーの本を読んでから、お人形さんの人間への心理的な作用を知りたくて本書を買ってしまった。 まぁ私が臨床心理学には全くの門外漢であるのがまず問題だが。 1)まず心を病んでいない、健康な人(子供)が人形で遊ぶ時の心理現象を調べ、その時点での限界はあるにせよそれを一応の法則化、一般化を試みる仮説を立てる。 2)この仮説を実験や観察から得られたデータで分析しその妥当性をやはり限界があるにせよ証明する。 3)これを繰り返し法則性の精度を高める。 4)次に3)をツールとして病んでいる人への仮の治療への方法を考える。 5)4)の仮の治療方法を実践する。(専門家の言う臨床実験) 6)仮の治療方法の是非を確かめるデータを集積する。 7)データの分析から5)の仮の治療方法の妥当性の検証を行い、それに修正を加える。 8)これらを繰り返す。 と言うのが全くの素人でも考え付く研究手法だが、本書はいきなり5)に突き進む。 現象の原理や法則が未解明なのにいきなり臨床=応用である。 これでは足掛かりが全く無いのに一歩踏み出すこと。 かんじきみたいな物を足に付けずに泥沼に足を踏み入れ、更にもう一歩進もうとしても最初に踏み入れた足がズブズブ沈んで行く様に見える。 読んでいて頭が痛くなるほど呆れた。 しかも本の中身の大半は著者自ら採取したデータによる物では無く、他の研究者の論文の引用ばかりがもの凄く多い。ネット民でも他人のサイト等へのリンクばかりで、自分の具体的な内容を持たないで知ったかぶりする人が多いが、それと似ているかもしれない。 人形云々よりまず、そもそも「臨床心理学」とは本当に科学の立場にあるのか、更にクライアントの苦痛を取り除きそのQOLを高める立場にあるのかと素人故の疑問が沢山湧いてきた。 大分以前、やはり門外漢ではあるが、医学部の学生に読ませる「精神科」の教科書をわざわざ買って読んだ事がある。この本には色々尾ひれを付けて、枚数を稼ぎながら、病気の分類をするだけで、結局病気の機序も効くとされる薬の作用機序も「つまり、結局、即ち、全く分かっていません。」と正直に書いてあった。(爆 しかしこの精神科の教科書の方が正直で真面目な本に思えたのである。 このレビューを読んでご立腹の臨床心理の先生方は「お前こそ何も知らない素人の癖に」とお笑いになり聞き流して下されば幸甚です。
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