無銭横町 の商品レビュー
短篇集。時系列では作家としての地位を確立して以降の北町貫多を描いたものが多め。青年期と比較するとやはり爆発力に欠けるか。
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この主人公は ちゅうちょうてきいえばくず しかし 小説家をめざし自分を客観視している。多くの小説家名が出て来る 小説が好きという一本の芯があるのみである しかしどこか憎めないところがある
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「菰を被りて夏を待つ」、「邪煙の充ちゆく」、「朧夜」、「酒と酒の合間に」、「貫多、激怒す」、「無銭横町」の6編が収められている。 いずれの短編も内容的にはこれまで読んできたものと変わらないが、それを手を変え品を変えて読ませてしまうのは流石である。 同じ話なのにけっしてマンネリには...
「菰を被りて夏を待つ」、「邪煙の充ちゆく」、「朧夜」、「酒と酒の合間に」、「貫多、激怒す」、「無銭横町」の6編が収められている。 いずれの短編も内容的にはこれまで読んできたものと変わらないが、それを手を変え品を変えて読ませてしまうのは流石である。 同じ話なのにけっしてマンネリにはならない。 そこが西村作品の魅力であり、力でもある。 読まずにはいられないのである。 中毒性の強い作家だ。 6作のなかで特に印象に残るのは、表題作である「無銭横町」。 例のごとく家賃を滞納、大家から立ち退きを迫られた貫多が、金策に走り回る様子が事細かに書き連ねられていく。 まずは手元に残ったわずかの金を工面して町田に住む母親を頼るが、自分の生活だけで精いっぱいだと体よく断られてしまう。 日頃没交渉で都合のいい時にしか現れず、度々迷惑をかけられている母親にすれば、これは当然の態度といえよう。 それでも帰りの電車賃だけは無理やりむしり取る。 アパートに帰った貫多は、仕方なく読みかけの文庫本を古本屋に持って行くが、ここでも断られそうになる。 だが悪戦苦闘の末に、何とか100円で売ることに成功する。 さっそくインスタントラーメンを買うが、コンロも調理器具も持っていないので料理ができない。 そこで考えたのが「水ラーメン」。 ビニール袋に入れたラーメンに水を注ぎ、ある程度ふやけたところで手でもみほぐすという方法。 とても食べられた代物ではないが、空腹を我慢できない貫多は残らず平らげてしまう。 そして「ヘンな胃のもたれと軽ろき吐き気」を感じながら、また次なる金策へと奔走するのである。 何とも情けなくやるせない話である。 しかしこんな愚行を繰り返すのが、若さというもの。 似たようなことは、ひとり暮しをしたことのある者であれば、身に覚えがあるはず。 斯くいう私もそのひとり。 読んでいてどうしようもなく愚かで、その日暮しだった若かりし頃を思い出したのである。 しかしその恥多き愚かな日々が、とてつもなく懐かしく愛おしい。 そしてそんな馬鹿々々しいことをやれたことが、今ではとても貴重な経験だったと思えるのであった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
■菰を被りて夏を待つ @青春期。20歳目前。 ■邪煙の充ちゆく @秋恵との蜜月の時期。 ■朧夜 @現在。 ■酒と酒の合間に @現在。 ■貫太、激怒す――または「或る中年男の独語」 @現在。を、メタ視点から? 珍しく語り手は「私」。 ■無銭横町 @青春期。20歳。 ■一日 @現在、とはいえ芥川賞選考会一週間前。 まあ、いつもの。 というか回想や身辺雑記や日誌や日記やが自動的に作品になっていく、というスタイルは、もはや発明。 珍しく暴力がない。
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【平成の無頼派、筆色冴えわたる新境地!】田中英光の作に出会い、人生が変わりゆく十代最後の日々。原稿用紙を前に呻吟する現在の姿。彩り豊かな六作に名品「一日」を新併録。
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