「南京事件」を調査せよ の商品レビュー
どうしても南京大虐殺は無かったとしたい戦後の人間であるが、この本ではまず第一史料に当たることの大切さと、それの検証を徹底していることに、取材、調査のあり方は評価すべきものがある。 それはいかに自分が、考えているようでも、他者の説に乗っかっていることを指摘されているようでもあるから...
どうしても南京大虐殺は無かったとしたい戦後の人間であるが、この本ではまず第一史料に当たることの大切さと、それの検証を徹底していることに、取材、調査のあり方は評価すべきものがある。 それはいかに自分が、考えているようでも、他者の説に乗っかっていることを指摘されているようでもあるからだろう。 この本では、南京大虐殺があったか無かったかということを決めつけているものではない。 真実を知ることはより困難なことで辛くもある。そしてただ願わくばどちらにしろ戦争で亡くなった人らが安らかに眠れるよう、自国他国ともに政治的に利用しないで欲しいものである。
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私はこれを読むまでは南京事件などなかったのだとか、一般人というのはすべて便衣兵だったのだ、30万人など当時の南京にいなかったのだからその数字は中国のでっち上げなのだという意見を信じたいという側の人間だった。それは現代の平和な日本に住み、優しくまじめな日本人を見ていてそんなことがあ...
私はこれを読むまでは南京事件などなかったのだとか、一般人というのはすべて便衣兵だったのだ、30万人など当時の南京にいなかったのだからその数字は中国のでっち上げなのだという意見を信じたいという側の人間だった。それは現代の平和な日本に住み、優しくまじめな日本人を見ていてそんなことがあり得るのだろうかと考えていた。しかし、この本を読んで、兵士の日記や写真から人数の正確さは証明できないまでも日本兵が犯した殺戮は否定しようもない。人数は関係ないのだと思える。兵士の日記には切り取られて事実がわからない部分が何ページかあったそうだ。それだけでどれほどの恐ろしいことが行われていたのかが逆に想像できてしまう。これまで朝鮮への軍隊の出兵は日本人を保護するためと言われていたりするが、後々まで日本軍は兵を引くことをしなかった。朝鮮にも中国にも明らかな侵略だったと思える。私は戦国時代の日本を思い起こした。切腹と捕虜になるくらいなら自害するという考え方は日本人の独特のプライドの高さだと思った。もちろん戦争とはこういうもので日本だけがそうではないが、他国と同様日本人も相当なひどいことをしたという事実はしっかりと認めていく必要があり、決して消し去られるものではなく、また繰り返してはいけないと思った。被害者は忘れることは不可能だと思うけれど、それでも未来に向かって互いに手を携えていかなくてはいけないと思う。互いに自分たちの都合の良いように解釈するのはもうやめなくてはいけない。
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読了。 否定派と肯定派が論争を続ける「南京事件」だが、首都陥落に際し犠牲が無い筈が無いし、相当規模の国際法違反行為があったのは間違いないだろう。しかし、本作はほぼ他人(小野賢二氏)の著作にある資料をなぞるのみで、史学的な価値や新発見は皆無。実際、ルポルタージュというよりは、自身の...
読了。 否定派と肯定派が論争を続ける「南京事件」だが、首都陥落に際し犠牲が無い筈が無いし、相当規模の国際法違反行為があったのは間違いないだろう。しかし、本作はほぼ他人(小野賢二氏)の著作にある資料をなぞるのみで、史学的な価値や新発見は皆無。実際、ルポルタージュというよりは、自身の政治思想と、嘗て従軍した祖父、父への反感を独白する私小説?とでも言うべきもの。南京事件の調査レポートの体で、強引に安部政権批判を展開するという衝撃の怪作。
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【読間】1/3時点。 冒頭で筆者が語る“一部の人たち”の声とおぼしき記事は目にしたことがある。 そんな“一部の人たち”の声によって、映画や小説や漫画での南京事件の描写にクレームがつき、あるは単行本未収録となったり、作者が謝罪記事を出したりすることになる経緯も、何かの機に読んだことがある。 そんな「南京事件」。その真贋を見極めようとしたという、筆者の心意気に心打たれる。 これは、最後まで読まねばならないだろう。 【読了】 無かったことを証明するのは至難のわざ……。 “一部の人たち”の側の著作等も読んでみてからでないと完全にフェアではないだろうが…、 規模や犠牲者数等について語られる時にかの国のプロパガンダ的要素が混じることが多々あるのは間違いないいせよ、虐殺が「無かった」と主張する姿は滑稽としか思えない(笑)。 ※そちら側の作品も、機会があったら読んでみねば。 ★4つ、9ポイント。 2018.02.01.新。 それにしても、父がシベリア抑留経験者で祖父が日清・日露戦争の功労者、そんな人が調査報道としては南京事件を描くとは…。 番組の方も観てみたくなった。ソフト化されているのだろうか。
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【なぜ、この事件は強く否定され続けるのか?】戦後七十周年に下された指令は七十七年前の「事件」取材? やがて過去と現在がリンクし始め……。伝説の事件記者が挑む新境地。
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日中戦争において日本軍が南京で中国の一般市民を虐殺したとされる南京事件。未だに「中国のねつ造だ」「中国のプロパガンダだ」と主張する人も多く、某大手新聞社もその見解を支持しています。著者の清水氏は従軍兵士の日記を基に可能な限り「事実」を追い求めて取材を進めています。そのプロセスは理...
日中戦争において日本軍が南京で中国の一般市民を虐殺したとされる南京事件。未だに「中国のねつ造だ」「中国のプロパガンダだ」と主張する人も多く、某大手新聞社もその見解を支持しています。著者の清水氏は従軍兵士の日記を基に可能な限り「事実」を追い求めて取材を進めています。そのプロセスは理詰めで飛躍がなく、非常に説得力のあるものです。本書を読んだ個人的な印象としては南京事件は”あった”と言ってよいのではないでしょうか。 南京事件の取材の延長上に、日清戦争で起こったもう一つの虐殺の件にも触れています。日本では教科書にもほとんど取り上げられることのない出来事であり、私も初めて本書を読んでその存在を知りました。 太平洋戦争を顧みる報道では「原爆・空襲・沖縄戦」などが多く、これは戦争によって被った被害者の視点と言えますが、日本が加害者となった事象についての報道はまだ数少ないのが現状です。その状況に一石を投じる一冊であることは間違いないと思います。次の一文が印象的でした「どれ程に長い時間が過ぎ去って、加害者側からはもはや消し去りたい歴史であっても、被害者たちは決して忘れることはない。戦争とは、つまりそういうことなのであろう」
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2017/12/27 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。 2019/10/2〜10/5 丁寧な取材で定評のある清水氏が南京事件に挑んだ作品。難しい問題ではあるが、関係者の証言を掘り起こして真相らしきものに迫っていく迫真のルポ。 何を持って”大“虐殺とするか、が結局のところの問題か。一般人を殺害したのは間違いないんだろうし、それについては反省と謝罪が間違いなく必要だろうが、清水氏の取材でも結局のところ人数については触れられていない。全く無かったことにしたい日本と、少しでも被害を大きく見せたい中国。今になって確信的な証拠が出るとは考えにくく、このまま言い合いをしていても結論は出ないだろう。どこかで折り合いをつけないといけないんだろうな。(それは、某半島の国とも言えることだが)
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