枕詞はサッちゃん の商品レビュー
ふざけた詩が書ける人は、ユーモアのセンス溢れる人。その家族の話だから、弾けている。作詞家の父は、芸術家の無茶振りを示し、家族が、振り回される。破天荒で、面白い。愛情たっぷり幸せ家族。^_^
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毎日新聞 2018/06/10 ◆◆サカタインクスがこの方の祖父が作った会社だったとは!◆すみません。土の器は知りませんでした。
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童謡「サッちゃん」の作詞者の長女による、父阪田寛夫と家族の物語。 確かに阪田寛夫と聞いて、数々の童謡や、詩の作者だということを思い出す人は少ない(自分もその一人)。なので、本人の自己紹介、あるいは父のことを紹介する際に、「あの童謡”サッちゃん”の作者であるところの・・・」と枕詞が必ず付くことから本書のタイトル。 サワリを読んで、あぁ、なるほど、と得心いって、なかなか面白そうと思ったが、旅先の書店で見かけた本だったので、戻ってから図書館で借りてみた。 「サッちゃん」のみならず、「おなかのへるうた」や、小学生の国語の教科書で読んだ「夕陽が背中を押してくる」なども氏による作詩だそうな。いろんな場面で小さいころからその作品には触れていたんだと脅かされた。 ついでに、その父阪田寛夫の叔父で作曲家の大中寅二という音楽家もいる。その彼の枕詞は『椰子の実』だそうだ。一族して、そういう星の下? 作品は広く知られていても、作者まで覚えていないビミョーな立ち位置の一族。面白い(笑) それでも、その人生で、ひとつでも枕詞が冠されるののは、すごいことなんじゃないかな。世に言う「一発屋」とも少しニュアンスが違うように思うし。 そうそう、阪田氏、『土の器』という作品で芥川賞も獲っている。TVドラマの脚本もいくつかものしている。叔父に『椰子の実』の作曲家がいれば、妹は宝塚のトップスター大浦みづき。いわゆる芸能一家でもある(幼少のころ、ご近所さんは阿川佐和子の阿川家。でも、「サッちゃん」のモデルは阿川佐和子ではない)。 そんなことで、阪田家やその一族にまつわる昭和な家族模様が綴られるが、阪田氏の仕事の成果はともかくとして、家庭内で父親としての阪田寛夫氏は、けっして褒められた素行の持ち主ではないようで、それを長女の内藤啓子が、父に向ける視線そのままにシニカルな筆致で綴る。章ごとに父親の残した詩を絡めつつ。 宝塚歌劇団の妹への書簡が紹介されている。父として娘へのアドバイスも詩人っぽい。 ”一バン下手なやつはアタマで芝居する。 次にダメなやつはノドと口先で芝居する。 うまいやつは胸。 えいらやつは腹。 名人は腰。 天才は足で芝居する。 足のうらにようくセリフを覚えさせておけ。” 家じゅう付箋紙だらけだったというのも、作家の家らしいし、最期の時も点滴をしつつ尿管を入れられた自分のことを「逆の濾過機」と表現する。 言葉を自在に操り、軽妙洒脱に生きた阪田寛夫とその家族の落ち着かきのない昭和の暮らしぶりが、なかなか楽しい一冊だ。
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阪田寛夫って、小説家、芥川賞受賞作家だった。 「サッちゃん」しか知らないって言ったら、阪田さんも啓子さんもがっかりだよね。「サッちゃん」の阪田寛夫のお嬢さんと紹介される啓子さん。阿川佐和子さんのように、やっぱり「阪田寛夫さんのお嬢さん」って紹介されたいよね。
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