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流石…という感じの流麗かつ読みやすい文章とプロット。こういう人が本当の作家といえるんだろうな〜などと思った。読後も美しいビジュアルが残像のように残る、映画のような作品。激しく心揺さぶられる話ではないけど、心のなかでずっと引っかかりながら考えていたことを言語化してくれているような面...
流石…という感じの流麗かつ読みやすい文章とプロット。こういう人が本当の作家といえるんだろうな〜などと思った。読後も美しいビジュアルが残像のように残る、映画のような作品。激しく心揺さぶられる話ではないけど、心のなかでずっと引っかかりながら考えていたことを言語化してくれているような面もある。
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めくるめく壮大な歴史物語を、眩暈を覚えるほどの幻想感に痺れさせ、奇抜な展開で惑わせる【皆川博子】の長編小説。第一次大戦下の黄昏の「ドイツ帝国」と、煌びやかさと残虐さで17世紀に東欧に侵攻した「オスマン帝国」を、500年の時空を超えて交差させた、耽美的かつ勇壮な物語である。登場する...
めくるめく壮大な歴史物語を、眩暈を覚えるほどの幻想感に痺れさせ、奇抜な展開で惑わせる【皆川博子】の長編小説。第一次大戦下の黄昏の「ドイツ帝国」と、煌びやかさと残虐さで17世紀に東欧に侵攻した「オスマン帝国」を、500年の時空を超えて交差させた、耽美的かつ勇壮な物語である。登場する若者たちの数奇な運命が帰結する最終章まで、飽きることなく惹きつけられる。(N図書館蔵書)
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17世紀のオスマン帝国、強制的に生まれ故郷から強制徴募された少年たち。そして一方、第一次大戦下、Uボートを自沈させ捕虜を奪還する計画が秘密裏に進行しているドイツ軍。 関わりあるはずのない遥かな時代が、ふたりの青年により絡みつき結びつき、ひとつの宿命を手繰り寄せる…手練手管の巧み...
17世紀のオスマン帝国、強制的に生まれ故郷から強制徴募された少年たち。そして一方、第一次大戦下、Uボートを自沈させ捕虜を奪還する計画が秘密裏に進行しているドイツ軍。 関わりあるはずのない遥かな時代が、ふたりの青年により絡みつき結びつき、ひとつの宿命を手繰り寄せる…手練手管の巧みな皆川先生ならではの幻想と残酷と美意識が詰まった重厚な作品世界の一品。 塩鉱での不可思議、ほかに代わりのない欠片同士なのに運命を共にできないふたりのあまりに永く哀しい生きざま、ふたりが見守りつづける「彼」の尊さ。それらが組み合わさって、苦しくともしんどくとも「この世ならざるものの残酷な導き」に酔わされて、読まされて、たまらない充足感が後に残ります。 エピローグは茫漠としていて、答えは明確ではなありません。だからこそいろいろと想像をめぐらせて、彼はまだ現代をも「彼」を探し、「彼」とともに生きているのかもしれない、などと夢想するのでした。
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引き裂かれ、虐げられた二人の少年は、岩塩鉱で長いながい時間を通過してしまった・・・。 思い合いながらも擦れ違った二人が、沈没する船の中で過ごした今際のきわとは・・・?? 歴史小説寄りです。 皆川先生は宦官ネタまでもやっていたんですね、と感服するばかりです・・・。
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この重厚さは紛れもなく皆川博子さん、なのだが。 これは、別々の話として読みたかった感がある。 少し前に読んだ篠田真由美さんの本と、その前に読んだ桜庭一樹さんの本をくっつけたようなストーリーだった。ファンタジー(?)と分かってて読むにしても無理があり、イマイチ世界に入り込めなかった...
この重厚さは紛れもなく皆川博子さん、なのだが。 これは、別々の話として読みたかった感がある。 少し前に読んだ篠田真由美さんの本と、その前に読んだ桜庭一樹さんの本をくっつけたようなストーリーだった。ファンタジー(?)と分かってて読むにしても無理があり、イマイチ世界に入り込めなかった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
17世紀初頭のオスマン帝国と、第一次世界大戦時のドイツ。 2つの舞台がつながるということは当たり前として、そのつながり方が、え、まさかそのまんまそう来たか、と、これまでの皆川博子作品をよく知る読者であればあるほど少し意外に感じるというか。 相変わらず作中の世界にひたすら没入させられる、精緻な時代考証をベースとした筆力はものすごいが(どんな歴史の教科書や解説書を読むよりも、当時の背景に想像を及ぼすことができ、理解することができる)、殊、構成の妙や物語を収束させる様式美、といった点に絞ると、これまた皆川ファンとしてはやや物足りないかも。 期待値が高過ぎる故ではあるが。 私たちは言うなれば、ただ生まれたから生きているに過ぎないわけだが、それでも「この世に生を享けた意義は何なんだろう? 自分が生きている意味は何なんだろう?」という根元的な問いを誰しも一度は抱くはず。 この書はあるいはそんな疑問に対して、とてもシンプルな形で答えを返している、と言うことができるかもしれない。 “モーゼも主イエスもムハンマドも、荒れ地の民を率いていた。荒れ地の民のために、掟をさだめねばならなかった。キリストの教えは、荒れ地とは暮らしが異なるヨーロッパにひろまり、矛盾が生じた。それを有理とするため神学が生まれ、単純なことが難解になった。イスラムでは、荒れ地の民を律するのに必要であったムハンマドの掟が一かけらの改変も許されず続いている。” 少し長いが、上記の引用に表れているような宗教の定義を含め、既に80代後半の老境に差し掛かった皆川氏だからこそ感じ取ったものを、三世紀に渡って生き続ける登場人物の口を借りて、この小説に著しているような気がする。 単行本の帯の惹句は意味不明というか、史上最低レヴェル。
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全体としては何で17世紀と20世紀が繋がるのかというミステリアスなストーリィだがオスマン帝国のスルタンを取り巻く描写だけでも興味深く読み応えあり。エピローグは自分には理解が難しかった。
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壮大な歴史物語。オスマン帝国時代の少年兵と、第一次世界大戦中のUボート乗組員。一見何のつながりもなさそうに思える二つの物語が、実は綿密につながっていることが徐々にわかってきます。そして手記を書き綴る二人の不思議な視点……まさかとは思ったけれど、そんなことが。 一緒に強制徴募された...
壮大な歴史物語。オスマン帝国時代の少年兵と、第一次世界大戦中のUボート乗組員。一見何のつながりもなさそうに思える二つの物語が、実は綿密につながっていることが徐々にわかってきます。そして手記を書き綴る二人の不思議な視点……まさかとは思ったけれど、そんなことが。 一緒に強制徴募されたことで出逢った二人の少年と、その絆の物語が基本なのですが。その二人が一緒にいた時期が案外と少ないのだな、というのが意外でした。しかしだからこそ「魂の半身」としての絆の強さが印象的に感じられるのかも。激動の時代を背景にしながらも、美しく、どこかしら静謐さを感じさせられるような作品でした。
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※このレビューにはネタバレを含みます
読み始めは、何の話しだかサッパリ分からず。 なのに、どんどん読んでしまう。 だんだん、分かってくる。 そうすると、もう止まらなくなる。 ずーっと生きてきたのに、何でこの時だったんだろう。 失敗の可能性が大きかったから? でも、成功したのに。 不思議な読了感。 皆川博子氏ならではのものを、今回も堪能。 満足。
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萩尾望都とか山岸涼子あたりの漫画の様な世界だった。 何で買っちゃったんだか謎の一冊だったけど、面白く読めて良かった。^^;
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