カネと共に去りぬ の商品レビュー
医師でもある著者が医者の本音をさらけ出した短編が7つ.表題作で認知症の実態がつぶさに記述されているのは、確実な知識の背景があるからだろう.郷田先生が認知症で崩れていく過程を日記の形で追っていく「アルジャーノンのギロチンを」が面白かった.医者だからと言って、認知症は待ってくれないの...
医師でもある著者が医者の本音をさらけ出した短編が7つ.表題作で認知症の実態がつぶさに記述されているのは、確実な知識の背景があるからだろう.郷田先生が認知症で崩れていく過程を日記の形で追っていく「アルジャーノンのギロチンを」が面白かった.医者だからと言って、認知症は待ってくれないのだ.
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-2019/05/29 ▶︎「変心」カフカの変身のパロディ作品である。主人公のインターンが、患者に病状を正直に伝えられないのに疑問を感じながら治療にあたっている。苦悩を聞いた上司が、患者の家族の身になったら考えが違うかもとアドバイスする。▶︎カフカは身を変えたが、本書は心の置き場...
-2019/05/29 ▶︎「変心」カフカの変身のパロディ作品である。主人公のインターンが、患者に病状を正直に伝えられないのに疑問を感じながら治療にあたっている。苦悩を聞いた上司が、患者の家族の身になったら考えが違うかもとアドバイスする。▶︎カフカは身を変えたが、本書は心の置き場所を変えた。▶︎久坂部羊作品にしては、心が軽やかになる。
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医療をテーマにしたブラックユーモアな短編集。がんの治療、認知症など、現代誰もが気になる問題を取り上げ、それらが名作文学をモチーフとしたなんとも皮肉な物語に仕上げられています。とても面白く読めるのだけれど、しかしとても怖いような気も。こんな現実だったら嫌だ。 お気に入りは「変心」。...
医療をテーマにしたブラックユーモアな短編集。がんの治療、認知症など、現代誰もが気になる問題を取り上げ、それらが名作文学をモチーフとしたなんとも皮肉な物語に仕上げられています。とても面白く読めるのだけれど、しかしとても怖いような気も。こんな現実だったら嫌だ。 お気に入りは「変心」。幸せって何なのだろう、と少し疑問に思えてしまいました。そして自分が患者だった場合、気休めばかり言われるのと本当のことを言われるのとどちらがいいのかも……? 「アルジャーノンにギロチンを」も面白かったです。原作を読んでいれば余計に。これもまた皮肉なラストではあるけれど。これは同感だなあ。同じ立場に置かれたら、絶対そう思います。
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久坂部羊 著「カネと共に去りぬ」、2017.11発行。医療界の裏話、医者の建前と本音、医者としての著者の存念など久坂部羊さんお馴染みの世界が7話収録されています。読んでるうちに、医者は誠実がいいのか嘘つきがいいのかわからなくなってきました。医者と患者、ある意味、確かに何かの役割を...
久坂部羊 著「カネと共に去りぬ」、2017.11発行。医療界の裏話、医者の建前と本音、医者としての著者の存念など久坂部羊さんお馴染みの世界が7話収録されています。読んでるうちに、医者は誠実がいいのか嘘つきがいいのかわからなくなってきました。医者と患者、ある意味、確かに何かの役割を演じているのかもしれないですねw。久坂部さんの作品は考えさせられるものが多いですが、たまには読んでて楽しく希望が湧いてくる作品もお願いしたいです!
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好き嫌いが分かれるだろうなあ。 私は好きか嫌いかと言われたら 「あんまり好きじゃない」けど 読まずにはいられない迫力がありました。 一気読み。 どの短編も現代の医療の様々な問題から 目を背けず毒を吐きつつ警鐘を鳴らし 読む人に、立場を変えて考えさせるような ぎりぎりの実験的な内容...
好き嫌いが分かれるだろうなあ。 私は好きか嫌いかと言われたら 「あんまり好きじゃない」けど 読まずにはいられない迫力がありました。 一気読み。 どの短編も現代の医療の様々な問題から 目を背けず毒を吐きつつ警鐘を鳴らし 読む人に、立場を変えて考えさせるような ぎりぎりの実験的な内容になっていると思います。
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医療に関連する人々の短編集。 本当にそうなら怖いなぁと思う話もありました。 題名はパロディ。うまいことつけてるなぁ。登場人物の名前もまた面白い。 『アルジャーノンにギロチンを』 『カネと共に去りぬ』 が特に面白かった。
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短編集。7編。 医療業界をブラックユーモア、皮肉たっぷりに描く。 個人的には「アルジャーノンにギロチンを」が面白かった。 7つの作品の原作のタイトルぐらいしか知らないものが多く、もっと内容を知っていれば更に楽しめたのかも。
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<内容紹介より> 文豪オールスターズが医療業界に殴り込み!現代医療の嘘と欺瞞を鋭く突く。 今日、患者が死んだ。初めて主治医として受け持つこととなった患者に村荘医師がとった不条理な行動とは? 「医呆人」 68歳を迎えた脳神経内科医の郷田智有。悲願である文部勲章の受賞を目前にして、健...
<内容紹介より> 文豪オールスターズが医療業界に殴り込み!現代医療の嘘と欺瞞を鋭く突く。 今日、患者が死んだ。初めて主治医として受け持つこととなった患者に村荘医師がとった不条理な行動とは? 「医呆人」 68歳を迎えた脳神経内科医の郷田智有。悲願である文部勲章の受賞を目前にして、健康状態を記録するために日記を付け始めるのだが。 「アルジャーノンにギロチンを」 研修医の寒座久礼子。ある朝、目を覚ますと、ベッドの上で自分の心が巨大な毒虫のように変わっていることに気がついた。 「変心」 ほか、劇薬揃いの全7篇収録。 ―――― 以前上梓された『芥川症』に近いニュアンスの作品だろうと思って読みましたが、前作に比べて現代医療への著者の不満が色濃くにじみ出ているように感じました。 終末期医療が果たして患者のためになるのかどうか、医療者としての医者のふるまいは果たして「患者のため」なのか、それとも医者の自己満足のための欺瞞に満ちたものではないのか。 痴呆の症状がでた老人や末期がんの患者に触れ合う医者の姿が多く描かれていましたが、ブラックユーモアを通り越して少し不愉快に感じる描写も多くありました。 収録作品の中で、「医呆人」と「吾輩はイヌである」はすんなりと受け入れられましたが、その他はどうも。 少し残念な読後感でした。
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【収録作品】医呆人/地下室のカルテ/予告された安楽死の記録/アルジャーノンにギロチンを/吾輩はイヌである/変心/カネと共に去りぬ 風刺、なのだろうが、退屈。
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全て、元の作品のタイトルのもじりになっているけれど、そもそもタイトルしか知らなかったりする作品が殆どで、内容が原作とどう似てるのかは不明。少なくとも冒頭や登場人物の名前は原作と似せているみたい。 最後の表題作以外は医者が関係した話で、作者の本音が透けて見えるような気がする。 最後...
全て、元の作品のタイトルのもじりになっているけれど、そもそもタイトルしか知らなかったりする作品が殆どで、内容が原作とどう似てるのかは不明。少なくとも冒頭や登場人物の名前は原作と似せているみたい。 最後の表題作以外は医者が関係した話で、作者の本音が透けて見えるような気がする。 最後はブラックジョークだったり駄洒落だったりでイマイチのものが多いけれど、「アルジャーノンにギロチンを」は伏線をうまく回収したラストになっていて一番良かった。
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