トラウマ関連疾患 心理療法ガイドブック の商品レビュー
PTSDなどのトラウマに関連する諸問題の理解と、各治療法の技法、エビデンス、課題等の紹介に力を入れている書。 臨床経験豊富な研究者が、現場の臨床家に向けて執筆し、論理的に正しい科学に根ざしつつ、臨床家に訴えかける言葉で書かれた本。 トラウマ関連障害についての診断スペクトラムの記...
PTSDなどのトラウマに関連する諸問題の理解と、各治療法の技法、エビデンス、課題等の紹介に力を入れている書。 臨床経験豊富な研究者が、現場の臨床家に向けて執筆し、論理的に正しい科学に根ざしつつ、臨床家に訴えかける言葉で書かれた本。 トラウマ関連障害についての診断スペクトラムの記述が邦訳書では割愛されてい点は非常に残念。 各々の心理療法は異なる点を持つが、共通点も持ち合わせており、共通性にも価値を見いだしているところがなるほどと思った。例えば、心理教育の必要性、感情調節と対処のスキルの教育と訓練、イメージ暴露、認知処理、再構成または意味づけの使用、感情への焦点付け、首尾一貫したトラウマナラティブを作ることを援助するという包括的な目的、など挙げると、確かに共通項は多いと感じる。 本書ではPEをはじめとした、エビデンスの堅い心理療法が具体的な事例とともに紹介されている。 また、まだ日本では新しいSTAIRーNTや複雑性悲嘆治療などの複雑なタイプのトラウマ疾患への心理療法も章を割いて記載されており、読み応えのある一冊。
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