心理学と錬金術 新装版(Ⅱ) の商品レビュー
(初版を読んで) 錬金術の心理面を詳細かつ深遠な説明によって解説する。様々な絵画も題材に取りながら心理学的な中世から近代への残された課題も提言する。錬金術を研究する中でキリスト教の中核にさえたどり着くように感じさせる。キリスト教は錬金術に影響を及ぼさなかったが、錬金術はキリスト教...
(初版を読んで) 錬金術の心理面を詳細かつ深遠な説明によって解説する。様々な絵画も題材に取りながら心理学的な中世から近代への残された課題も提言する。錬金術を研究する中でキリスト教の中核にさえたどり着くように感じさせる。キリスト教は錬金術に影響を及ぼさなかったが、錬金術はキリスト教に影響を及ぼしたというパラドックス等。
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「心理学と錬金術II」は、「第3部錬金術における救済表象」をおさめる。 「心理学と錬金術 I」が、錬金術の表象を使って、個人の夢を個人の無意識というより、集合的無意識に属する表象を解釈する事例の紹介が中心であったのに対して、「II」は、錬金術自体の紹介が中心。「I」のほうは、ち...
「心理学と錬金術II」は、「第3部錬金術における救済表象」をおさめる。 「心理学と錬金術 I」が、錬金術の表象を使って、個人の夢を個人の無意識というより、集合的無意識に属する表象を解釈する事例の紹介が中心であったのに対して、「II」は、錬金術自体の紹介が中心。「I」のほうは、ちょっと強引な解釈じゃないかな?と思うところが多々あったのだが、こちらは錬金術はどういうものなんかという内容で、また錬金術の本からのたくさんの図版が紹介されていて、純粋に面白かったな。 基本的には、ヨーロッパにおける異教的な錬金術とキリスト教との関連性などを整理しながら、その心理的な意味合いを読み解いていく感じ。なるほど、ユングの理論のコアともいえる「対立物の結合」が、こうした研究に基づいていたんだな、と分かってくる感じ。 そして、最後のほうは、ヨーロッパ以外で、同様の表象があることを指摘して、錬金術的なものが、ある文化に限定されるわけでなく、「人類共通」の無意識であることをやや控えめに示唆する。 エピローグでは、ゲーテの「ファウスト」とニーチェの「ツァラトゥストラ」に言及していて、この本が出された1944年という時代を考えれば、ナティズムを意識しながら書いたのだろうという感じもあって、なるほど感があった。
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