酔ゑひもせず の商品レビュー
松尾芭蕉の一番弟子、其角と実際に親友であった絵師で太鼓持ちの多賀朝湖。俳諧の名は暁雲。太鼓持ちで吉原へ出入りをするときは、狂雲堂。 其角も一緒に吉原へと通うときには狂雷堂という名前を使う。 物言いがキツく他の弟子たちから距離を感じることが多い其角だが、暁雲といるときはなにも気を...
松尾芭蕉の一番弟子、其角と実際に親友であった絵師で太鼓持ちの多賀朝湖。俳諧の名は暁雲。太鼓持ちで吉原へ出入りをするときは、狂雲堂。 其角も一緒に吉原へと通うときには狂雷堂という名前を使う。 物言いがキツく他の弟子たちから距離を感じることが多い其角だが、暁雲といるときはなにも気を使わなくとも良いくらい。 そんな二人が座敷によく呼ばれる吉原の花魁から、願い事をうける。 次々と遊女がいなくなっているというのだ。 クセのある性格の二人の友情の厚さと、言葉のやり取りの面白さ。 そして当時の吉原の花魁での座敷での決まり事。 粋や野暮な遊び方など、面白い情報も多い。 話は、ミステリー仕立てで、人の情が絡む事件であり、話だけでも十分面白い。
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タイトルに釣られた本だが、江戸時代中期の吉原の華と闇に溢れて情緒があり面白かった。 俳諧師の其角が主人公で、相方の曉雲は絵師であり幇間。そんな二人が吉原で動く犬の屏風の謎、消えた太夫を巡る騒動を探る。 登場人物が魅力的であり非常に読んでいて楽しかった。ミステリ的には物足りない感じ...
タイトルに釣られた本だが、江戸時代中期の吉原の華と闇に溢れて情緒があり面白かった。 俳諧師の其角が主人公で、相方の曉雲は絵師であり幇間。そんな二人が吉原で動く犬の屏風の謎、消えた太夫を巡る騒動を探る。 登場人物が魅力的であり非常に読んでいて楽しかった。ミステリ的には物足りない感じがするが読了感は良かった。
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芭蕉の高弟である俳諧師の其角は、絵師の多賀朝湖(後の一蝶)の魅力にひきつけられ、9歳年上の彼と友だち付き合いをするようになる。 朝湖は狂雲堂と名乗るたいこもちでもあり、吉原では知られた存在だった。 ある日、吉原の遊女がもらった屏風に描かれた子犬が動き、それを見た遊女が次々と消える...
芭蕉の高弟である俳諧師の其角は、絵師の多賀朝湖(後の一蝶)の魅力にひきつけられ、9歳年上の彼と友だち付き合いをするようになる。 朝湖は狂雲堂と名乗るたいこもちでもあり、吉原では知られた存在だった。 ある日、吉原の遊女がもらった屏風に描かれた子犬が動き、それを見た遊女が次々と消える事件が起きた。 謎を追う二人は事件の真相に迫るが…。 其角と一蝶のコンビが良いです。 頭は切れるが不器用な其角と、理屈ではなく情で動く豪放磊落な一蝶。 蕉門のまとめ役ながらも周囲に溝を感じて屈託のある其角は、人を惹きつけるがそれでいて心にどこか暗闇を抱えている一蝶と一緒にいると、自然と振舞うことができ本当の自分になれる。 ブロマンス風の二人の絆には少しモヤモヤしますが、このお話の見どころは遊女たちの哀しい生きざま。 苦界に身を沈めた遊女たちの儚くも美しい恋や外への憧れ、そして諦観。 ささやかな幸せを求めながらもお互いを思いやる遊女たちの姿は胸につかえ、深い余韻を残します。 そして、謎がきれいに解かれ、次巻ではまた二人が事件を解決していくのかと思いきや…後日談は唐突であっさりしすぎていて不満が残ります。 暁雲が背負う過去の解決は膨らませれば一冊にはなるのに、数頁で終わってしまってもったいない。 もっと、二人が酒を飲みながらわちゃわちゃして事件に遭遇するお話が読みたかった! 二人が友人になるまでの前日譚が刊行されているようなので、そちらも読んでみようと思います。
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