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わたしと先生の幻獣診療録(2) の商品レビュー

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2020/07/30

魔術が仕えるツィスカと医療技術を持つニコ 二人はいわば相棒のような間柄なのだけれど、かといって相棒モノにありがちな衝突ばかりとか凸凹コンビという訳ではなくて、もっと単純に得意分野が似ているけれど異なるというタイプ それにより互いの目指す医療の形に理解が有るし、治療現場では非常に息...

魔術が仕えるツィスカと医療技術を持つニコ 二人はいわば相棒のような間柄なのだけれど、かといって相棒モノにありがちな衝突ばかりとか凸凹コンビという訳ではなくて、もっと単純に得意分野が似ているけれど異なるというタイプ それにより互いの目指す医療の形に理解が有るし、治療現場では非常に息の合った連携を見せる 特に第6録においてツィスカが魔術的側面からではなく、ケルピーをよく観察して医療従事者としてすべき事を躊躇しなかったシーンは良いなぁ。 現場を見てすぐに「良い判断だよ」と褒めたニコの様子からも二人の信頼を存分に感じられた そしてこの巻のメインと言えるのは第9録から始まるニコの過去に纏わる一連のエピソード 彼は魔術について知識を持ちつつも魔術を使えない。また科学の時代へと移り変わっていくと知りつつも魔術の尊さにも気付いている 魔術と科学に対して非常に微妙なバランスの感覚を持ちっている点が不思議な在り方をしていたのだけど、このエピソードを見て彼の人となりが随分見えてきた気がする 科学では救い方が存在しないライ麦狼。幼少の頃は無力で無知であったために救えなかったと考えていた彼は獣医となり多くの知識を身に付けた。だというのに彼の力ではライ麦狼を畑から出せないとは……。 知識だけでは幻獣を救えない。ニコには嫌というほど現実が突きつけられる。このエピソードほど彼が科学の側に立つ人間なのだと感じさせる描写はなかったよ だからあの状況でライ麦狼を救うためにはそれこそ奇跡の力が必要なわけで 変わりゆく時代に翻弄されるツィスカには魔術は使えても精霊の在り方をひっくり返すような奇跡は起こせないと思われた。こちらもある意味現実を突きつけられている でも、ツィスカは突き付けられた分だけ自分の力とは何かを見つめ直すことが出来た ニコはツィスカが知らない知識を多く持ち医療技術も高い。一方でツィスカはニコが使えない魔術を行使できる。二人はぶつかり合うのではなく、足りないものを補い合う相棒 まだまだ医療助手の立場のツィスカだけど、ニコに出来ない部分を突き詰めていけば科学では助けられない命を助けることだって出来るのだろうね 出来ることが異なる二人の関係とはどういうものか、とても判りやすくそして感動的なエピソードに仕上がっていたね

Posted byブクログ