ベートーヴェンの交響曲 の商品レビュー
まずベートーヴェンの生涯や、彼の音楽や交響曲の主な特色を見渡し、次いで一番から九番までの解説を、哲学的視点から、そして歴史的経緯等から語る。著者が音楽学のほか神学・哲学も専攻したというのがよく分かる。最初から順番に読んでいくようにできているので、特定の項だけを読むのは不可能ではな...
まずベートーヴェンの生涯や、彼の音楽や交響曲の主な特色を見渡し、次いで一番から九番までの解説を、哲学的視点から、そして歴史的経緯等から語る。著者が音楽学のほか神学・哲学も専攻したというのがよく分かる。最初から順番に読んでいくようにできているので、特定の項だけを読むのは不可能ではないものの向かない。音楽理論についてあまり詳しくない人でも読めると思われるし、比較的薄いのですぐ読める。音楽を聴くときに味付けの一つとなるだろう。逆に言えば、演奏するための分析は十分に詳しく書いてあるわけではない。大まかに俯瞰する目的で書かれていると思われる。この著者の書く第2段を読みたいし、他の音楽家についても是非書いてほしい。装丁が、哲学本を思わせるような端正さで、手もとに置きたくなる本。
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読了。タイトルとは裏腹に、単に楽曲解説をしているだけの本では無かった。音楽的というより歴史的、哲学的に解説している部分が多い。たとえば「英雄」の1楽章冒頭の主題に唐突に出てくるC#のとか、8番のメヌエット楽章で、トランペットに2拍遅れて入るティンパニとか、そういうもんだと思って聞...
読了。タイトルとは裏腹に、単に楽曲解説をしているだけの本では無かった。音楽的というより歴史的、哲学的に解説している部分が多い。たとえば「英雄」の1楽章冒頭の主題に唐突に出てくるC#のとか、8番のメヌエット楽章で、トランペットに2拍遅れて入るティンパニとか、そういうもんだと思って聞いていただけの部分について、ああそういうことだったのかと納得させる説明がふんだんにある。音楽的な説明はむしろ少なく、同時代の音楽家や批評家によるコメントなどから当時の評価を紹介するなど、音楽が好きなだけで演奏はしないという人にも十分に楽しめるような説明になっている。ただ、引き合いに出されるほかの作曲家の作品なども知っていた方が楽しめるので、クラシックをたくさん聴いている人の方がより理解が深まると思う。
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