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“守りから攻め"の事業承継対策Q&A 平成29年改訂版 の商品レビュー

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2018/07/29

守りと攻めの視点から事業承継対策について解説。筆者がタクトコンサルティングの面々なので制度の説明というよりスキーム構築についての解説が多かった。新事業承継税制の特例についてはフォローされていないが陳腐化感はなく、現在の実務にも使えそうな内容であった。 P133 [2]会社分割の実...

守りと攻めの視点から事業承継対策について解説。筆者がタクトコンサルティングの面々なので制度の説明というよりスキーム構築についての解説が多かった。新事業承継税制の特例についてはフォローされていないが陳腐化感はなく、現在の実務にも使えそうな内容であった。 P133 [2]会社分割の実行による相続税への影響 【1】で説明したとおり、あなたの相続に係る遺産外割対策としては生前の会社分割が有効です。ただし、会社分割を実行することにより、あなたに係る相続税の計算上、会社分割前の甲社株式の相続税評価額に比べ、分割後の甲社株式および乙社株式の相続税評価額の合計額が大きくなるケースがあることに注意する必要があります。 そのケースの1つは、会社分割後3年以内にオーナー経営者に相続が発生した場合、あるいは分割後3年以内に株式を贈与した場合です。乙社株式を純資産価額方式(第3章Q25参照)で評価する場合、会社分割により乙社が甲社から取得した土地や家屋の相続税法上の評価方法は、路線価や固定資産税評価額をベースにして評価することが原則です(財産評価基本通達11, 89)、しかし、乙社がその土地や家屋の取得(=会社分割)後3年以内にあなたの相続が発生した場合、乙社株式の純資産価額を評価する際には、 通常の取引価格で評価されることになります(同185)、路線価や固定資産税評価額をベースとした評価に比べて、通常の取引価格をベースとした評価の方が、相続税評価額は通常高くなります。また、この場合の乙社株式は、開業後3年未満の会社の株式となるので、純資産価額方式のみによる評価となり、一般的に相続税評価額の低くなる類似業種比準価額(第3章Q24参照)による評価はできません(同189-4)。 2つ目のケースは、会社分割することによって、株価算定上の会社規模が大会社から中会社又は小会社に変更になる場合です。そのような場合、類似業種比準方式のみで株式評価ができなくなり、一般的に相続税評価額の高い純資産価額も株価に反映されるため、甲社および乙社の株価の合計額は分割前の甲社の株価の評価額に比べて増加する傾向にあります。(同178、179) 以上により、会社分割前の甲社株式の相続税評価額に比べて、分割後の甲社株式および乙社株式の相続税評価額の合計額が大きくなるおそれがあります。相続はいつ発生するか分かりませんので、あなたが会社分割を検討している場合は早めに実行されることをお勧めしますが、前述のような相続税負担の増加が生じることもありうるため、事前の十分な検討が必要です。 (岡隆充)

Posted byブクログ